Zero in on Now(今この瞬間に意識を集中する)
禅思想にインスパイアされたサウンドスケープを堪能するOE『Suchness』プロジェクト。その第5弾『Moment of Now』のテーマは、「今この瞬間に聞こえるもの、感じることに意識を研ぎ澄ます」。緩やかにテンポを刻むビートと電子音の織り成す音の交差が、沈黙や空白の瞬間を浮かび上がらせる。さあ、ダイブしよう。
OE『Moment of Now (Suchness 5)』トラックリスト
1. Watermills 2. Rhythm of the Wind 3. Let Them Come, Let Them Go (Beat Mix) 4. Deer in the Rain 5. Forest Explorer 6. Hello Solitude 7. Cloud Sea (Beat Mix) 8. Glass Moon 9. Hotaru 10. Silver Thaw 11. Midnight Trail 12. Kodama-sama |
アルバム情報&クレジット
アーティスト名: OE
アルバム・タイトル: 『Moment of Now (Suchness 5)』
発売日: 2025年1月17日(金)
フォーマット: デジタル配信(CDリリースはありません)
カタログNo: MEOE-1032
UPC Code: 198595519950
レーベル: Model Electronic Records
All tracks composed and produced by Tatsuya Oe (NexTone/JASRAC)
アートディレクション: Passion Yoko
アルバム解説
OEのサウンドスケープ・プロジェクト『Suchness』の最新アルバム『In Moment of Now』は、「真に現在にいること」、すなわちマインドフルネスを通して「今」を感じるという概念に焦点を当てている。Suchness(あるがまま)という仏教に由来する言葉自体、現在の瞬間に対する集中した意識や知覚によって到達する心の状態、すなわちマインドフルネスという概念を含んている。タツヤは日本人アーティストとしてのバックグラウンドを活かし、自然と音との特有のつながりや禅思想からインスピレーションを得つつ、音楽を通してこれらの概念の本質をさらに深く掘り下げている。
このアルバムでは、従来の『Suchness』プロジェクトでの作曲法—つまり「繊細、かつ偶然性を持った音の連なりを重ね、差し引く」手法—と、現代的なリズム要素を融合させている。ディスコなどの音楽ジャンルでは、繰り返しのビートやグルーヴがしばしば聴衆を現在の瞬間から引き離し、長い時間軸を持つ旅へと誘う効果を生み出す。しかし、タツヤはこの作品において、リズムとテンポを意図的に遅くすることで、その効果を逆方向に変質させている。慎重に刻まれた思慮深いビートにより、沈黙や空白の瞬間が浮かび上がり、現在をより深く認識するよう促す。それは、顕微鏡で細胞を観察するように、あるいは周囲の微妙な変化に気づき、スローモーションのように「今」を認識すること。
このアプローチは、忍耐や判断しない態度(ノンジャッジメント)、そしてマインドフルネスを育み、オーディエンスに「現在に存在し、今自分を取り巻く環境に意識を向けること」を促す。リズムとビートを『Suchness』の従来のスタイルと融合させることで、タツヤは音楽における新鮮な時間認識を生み出すことを試みる。
すなわち、「今聞こえるもの、今感じることに研ぎ澄ます」という認識を。