「YouTubeがWarnerとついに提携、音楽を無料・合法配信へ」というニュースに沈思黙考な今日この頃ですが、「音楽は遅かれ早かれ”水”の様な存在になる」という、David Kusek & Gerd Leonardが「デジタル音楽の行方」で主張していた内容がますます現実味を帯びてきた感もありますね。
とは言っても、「そこで我々ミュージシャンはどういうアクションを求められているのかっ?プロダクト産業から包括的なサービス業への転換を迫られている音楽・レコード産業は、どうビジネスモデルをパラダイムシフトさせていくのかあっ…?」なんていう、ビジネスセミナーに見られるマクロな大風呂敷パネルディスカッションをここで展開する気はないのです、残念ながら。自分は自分で冷静に、謙虚に、かつ果敢に実践していくのみですね。
幸い僕は元々、既存の産業システムとはある程度距離を保って活動するように心掛けてきたので(その分大当たり&大はしゃぎもないが、笑)、構造変化の大きな波に煽られるということがあまりありません。個人的には、面白い時代になるのはむしろこれからなんじゃないかと思っていますので、この手の晴天の霹靂的な業界話は割と性感、いや静観しています(笑)。すぐまた状況は予測不能な方向へと変わるものですから。
冒頭の話題を書いていて、10年位前に読んだこの本を思い出しました、「複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち 」(新潮文庫)。当時流行り言葉の様に使われましたが、内容は今でも読むに値する、というよりネット社会の今こそリアルな接点を感じながら読めるのかもと思った次第です。僕にとっては凡百の自己啓発本よりも、ずっと大きなインスパイアを与えてくれた一冊なんですね。ところでこの「複雑系」という言葉、間違っても「お前さ?、ぶっちゃけ複雑系?」なんて使い方はしませんので、ご注意を(笑)。
で、もう一冊はドキュメンタリー的に読むも良し、現在のYouTubeを取り巻く状況と比較して読むも良しの「ナップスター狂騒曲」です。僕は生業上、そんな客観視して読めないですけどね(^-^;)。
ある程度事情は把握していたものの、あれほどまでに業界を混乱に巻き込んだムーブメントが、想像以上に無防備で脆い基盤と動機の上で進行していたという事実に少し驚いた次第です(もちろん旧Napsterの事)。余程頑丈な防弾チョッキを身にまとっているか、ハナから切腹覚悟かのどちらかだろうと思っていたので…。良い意味でも悪い意味でもアメリカらしい出来事だったと言えるでしょう。状況は若干変われど、この「狂騒」から得られる事、学べる事はまだまだあると思います。
パーティーは始まったばかりです。これからどんな狂騒が起こることやら、自分はどうその中を泳いでいくことやら、今から楽しみです。