先週末から数本制作に取り掛かっていたのですが、とりあえずそちらは一段落し、デスクワークに戻りました。とはいえ、このところ無性に制作意欲が沸いてきているので、どこかでまとまった時間を作って曲のストックを増やしたいと思っている今日この頃です。
ここ最近作りたいと思っているのは、”Heavy Mellow” や “Sunshine” の延長上、もしくは Playmodel 的な世界観で少しテンポを落とした楽曲です。別にアップテンポに疲れたわけではないのですが(笑)、BPMが遅めのトラックの試行錯誤はまだ自分としてはやり尽くしていない気がするので、インスト、ヴォーカルトラックの両面で色々なアイデアを試せる余地があると思っています。
東京に戻ってきてからも相変わらず色々本を買っているのですが、専ら新刊よりも少し前に発売された本を発見して読んでみることが多いですね。発売されてすぐ読まないと意味がない本も多い一方で、発売されてしばらく経ってから自分の関心と一致して買うという本も多くて、この辺りは音楽とも近いかなと思います。
僕はここ最近は音楽も、「皆さんが聴いた日=リリース日」だと思っています。もちろん実際のリリース日前後に発売側(レーベルや流通)がプロモーションをきちんと組むというのは今もとても大事ですが、検索文化・ソーシャルメディア時代にあって、それをこちらが意図したタイミングでこちらの意図した様に伝えられると考えるのは発信者側の論理であって、実際は受け取る側が受け取りたい時に受け、感じた様に伝わるもの。我々はその土台作りをするにすぎないのではないかと考えています。
例えば、このサイトのオフィシャルストアのページで、”Sunshine” で興味を持って頂いて、その後初めて2002年のOE「Here and you」を聴いたとか、最近になって「Twist & Shout」が僕の楽曲だと知ったとかという方がいるかも知れませんが、その場合はその人が聴いた日、関心を持った日がその曲のリリース日(もしくは「発見(聴)日」とでも言うのかな)だと思うのです。
(ソーシャルメディア云々以前に、インディペンデント・アーティストやレーベルは、こちらがリリースするタイミングとリスナーが受け取るタイミング、音が浸透するタイミングの間にかなりの、場合によっては数年のラグがあります。)
そういう意味で、皆さんの関心を持った時点にきちんと楽曲が聴ける、(出来れば)購入できる状態にある、そういう環境を作っておくことが長い目で大事だと考えています。また、賞味期限が無期限に延長されつつあり、またそれを提供側でコントロール出来ない時代に入ったということは、作り手の責任もその分自動延長されるということですから、(特に自分のレーベルにおいては)ますます長く責任を持てる作品、耐久性のある音楽を作らなければなと思う次第です。
というわけで、受け手の側に立てば、いつでも発売後時間が経った本が手に入るこの時代とamazonはありがたいのですね(笑)。先日は数年前に出版された団野村「交渉力」を発掘して読みました。交渉に関するノウハウ本というよりも、野球界でのリアルな経験談とそこから作者が得たタフな知見集といった感じでしょうか。これを読んでいて思い出した、野茂 英雄「僕のトルネード戦記」も紹介しておきます。これは僕がデビューした頃の本ですから随分前ですが、普段寡黙な彼がどういう事を考えてアメリカに渡り、メジャーリーグに挑戦したのかに興味があって読みました。野球に興味のない僕でも野茂さんだけは特別な存在でしたから。
最後に今となっては珍しい(?)、Captain Funk のファースト “Encounter with (1998)” 試聴でお楽しみ下さい。最初の作品って正直なものだなと改めて思います。