あるCM音楽のフィニッシュ作業(MA)があり、六本木のスタジオに行ってきました。スタッフの皆さんの思い切りの良いジャッジのお陰で、今回もかなりエッジの立った仕上がりになったのではないかと思います。
僕はCM音楽の制作も頻繁に手掛けているように聞こえる(というか周囲にも時折言われる)のですが、これはたまたま制作チームの皆さんと以前から親しくさせて頂いていて、かつ姿勢として賛同出来る部分が大きいからなんです。僕がお付き合いさせて頂いているディレクターやプロデューサーの方達は、「○○に似た曲を作って欲しい」みたいな、クリエイターとしての意欲が減退するようなことを絶対言わず、コンセプトからとことん納得行くディスカッションが出来ますが、一般的にCM音楽や映画音楽など「映像に音をつける」世界では、そういった非情な依頼が日常茶飯事であろうこともよく理解しています。なので、そういった自分に負荷をかけそうなお仕事は(後で迷惑をかけないように)、はじめから受けないようにしています。
人からは器用で多芸だと言われることもありますが、実は器用ではありません。たまたま幾つかの事は自分の興味範囲の中で試行錯誤しているうちに何となくスキルが身に付いただけであって、実は興味のないことや得意でないことには全く興味が沸かない性格なんですね。集中できないので仕事中に音楽を聴くことは殆どないし、パソコンのテレビチューナー以外にいわゆるテレビが映るマシンを持ってない。テクノロジー系のガジェットにも全く興味がありません。
「捨てる技術」じゃなくて、「(初めからモノを、興味を)持たない技術」の方が大事なんじゃないかと思うんですね。