今月からついに Model Electronic リリースのCaptain Funkの過去3作品が正式に世界配信されました。各国の iTunes や Amazon MP3 はもちろん、欧米の配信サービスを中心に様々なサイトでこれらのアルバムを試聴・購入して頂くことが出来ます。
追記:2013年7月現在、これらの作品はCaptain Funk “Chronicles 2007-2013, Vol. 1 & 2″として世界配信されています。詳細はtatsuyaoe.com内の下記のページを御覧ください。
Captain Funk – Chronicles 2007-2013, Vol. 1
Captain Funk – Chronicles 2007-2013, Vol. 2
またこれも News に書いたように、まだ配信(販売)が始まっていないサイト、日本からはアクセス出来ないためさらに確認作業が必要なサイトなど、発表出来ていない情報も多くあります。パートナーであるディストリビューターはアメリカの会社ですが、彼らとは日々密な連絡が取れる関係にはあるものの、リテール情報(各配信サイトの状況)については構造上彼ら自身も逐一把握しているわけではないのですね。ですから、配信を依頼しているレーベルは、(我々に限らず)配信が行われているサイトに各自赴き、配信の状況を自らリサーチ、ウォッチしていく作業が必要になります。
特に最近は、Spotify や Rdio などのように、従来の「MP3配信・販売サービス」の域を脱して、ソーシャルネットワークの要素が強いものや他のサービスと複雑に連繋しているものも多いですから、それぞれのサービスのあり方・立ち位置も含めて見ていく必要がありますね。
そういうわけで、今日はこのリサーチと各Captain Funk関連サイトへのニュースリリースの作業で終わりました(笑)。昨日までは、自分の楽曲や、あるメガネブランドのCM音楽制作にかかりきりだったので、久々にスタジオから離れた一日でしたが、明日からはまた音楽制作に戻る予定です。
CM制作と言えば、今回は久々に90秒のコマーシャルに挑戦しました。90秒、30秒、そして15秒と3つの尺パターンを作ったのですが、そこに占める音は楽曲ではなくサウンドと声のみという変わったアプローチだったので、普段楽曲を作る時とは違う部分の脳味噌を刺激されるよい機会になりました。以前何度か映画のサウンドデザイナー(音効さん)の仕事をご紹介したことがありますが、サウンドデザインの世界は楽曲作り以上に正解がない世界なので、落とし所を決めるのが難しいのですね。結果から言えばとてもスムーズに作業が終わりましたが、実は毎回かなり緊張しながら作っているのです(笑)。
話を冒頭のリリース話に戻すと、「世界配信」と銘打ったものの、まだまだ配信出来ていない地域が世界には沢山あります。ロシアや東欧、南米に中国(そして香港、台湾)、インド、東南アジア、アフリカなどは iTunes や Amazon などの欧米圏でのメジャー勢が欧米同様すこぶる堅調に定着している、というわけではありません(iTunesは、飛ぶ鳥を落とす勢いの韓国にすら現時点ではまだ進出出来ていない)。しかしながらこういった国々こそが、(BRICS と象徴的に呼ばれたりしているように)21世紀の経済を担う一端になろうことは明らかですよね。僕もDJや仕事、旅行で様々な国を訪れたことはあるものの、それはある程度のボリュームのDJカルチャーやポップカルチャーが存在するような先進国+αレベルであって、まだよく事情を把握していない地域が沢山あります。
実際のところ、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディア、またYoutubeが急速に成長していると言われる背景の一つに、これらの地域でのユーザーが爆発的に増大していることがあります。ローカルのiTunesストアはなく、MP3の購入こそ出来ませんが、我々や西洋の音楽には既に十分アクセス出来る環境が広がっているわけです。Captain FunkのFacebookページなどを見ても、ファン(Likeを押した人)の半分近く、特に熱心なレスポンスをくれる人達はこれらの地域の人達だったりします。彼らがどう音楽にアクセスして楽しんでいるのかについては、サウンドスキャンや全米レコード協会(RIAA)よりも今やGoogleの方がよく知っているのかも知れません(少なくともデータは持っている)。
政治や国際情勢はともかく、エンタテインメントの分野においても、日本に住む我々は安易に「海外」と「世界」という言葉を混同して使いがちですが、実際我々が「世界」と言って思い浮かべる世界は、世界のほんのほんの一部にしか過ぎないということを強く感じる今日この頃です。こういった国々の人々が普段どういった形で日本を含めた他国の文化に触れ、どういった文化・消費生活(もう少しマシな言い方があればいいのですが、笑)を営んでいるのかをウォッチしていくこと、また実際に接点を探してみることは既に必須科目になっている。そんな印象を持っています。