Dark Model アルバム・レビュー第9弾 -「今年最も壮大で記憶に残る作品」
「タツヤオオエは最近記憶する中でもっとも優れたエレクトロニックミュージックへの取り組みの一つを、また2014年の中で最も壮大で記憶に残る作品の一つにたやすく入る作品を作り出した。」(米 Under the Gun)
「タツヤオオエは最近記憶する中でもっとも優れたエレクトロニックミュージックへの取り組みの一つを、また2014年の中で最も壮大で記憶に残る作品の一つにたやすく入る作品を作り出した。」(米 Under the Gun)
Dark Model オフィシャルサイトの日本語版を作りました。アルバムの方は日本のAmazonからも直接購入できる状態になっています。この作品は全曲を通して聴いて頂いてこそ見えてくる世界観、ストーリーが必ずあると思うので、是非アルバムを通して聴いてみて下さい。
Tatsuya Oe Updated: 2024/11/6 水曜日
小学生の時最初に買ったアルバムはビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』だった。彼は絶頂期を過ぎた頃、義理の弟でもあったマネージャーによる莫大な金額の詐欺に遭い、損害賠償訴訟を起こす。その後ライブ活動こそ再開したが、精神的な疲弊が尾を引き、独力による新曲が殆どない。マネジメントや管理という仕事はさも「らしく」聞こえるが、リスクを負わずして手数料で食う仲介業者が、本人の動機や愛着を超えることは絶対にない。
映画やアニメの音楽を専門的に作っている作曲家なら1日数十曲作ることは出来るかも知れないが、年中そのペースをキープすることは不可能だし、普通どこかで燃え尽きる(笑)。AIの力を借りて10万曲以上の曲を作り、さらにボットで一日66万回ストリーミング再生していた音楽家が逮捕されたというニュースがあったけど、曲作りのペースが異常なのはさておき、各ストリーミングサービスに流通させる手続きだけで気が遠くなりそう。
10年前に書いたこの記事は未だによく読まれているようだ。どの辺りに興味が持たれているのかは分からないけど、書いた内容については今も同感。先日書いた扁桃体を含めて、人間の脳は狩猟採集時代から殆ど変わっていない。我々は「獲物を生け捕り、敵から身を守り、群れて生きる」ために設計された脳のままでこの時代を生きているのだから、そもそも限界はある。AIの穏やかな知性と人間達の穏やかでない野性からそれを痛感する、2025年。