昨日から東京は急激に涼しくなってきました。夏に買ったunited bamboo のセーターがようやく着られると初秋気分を味わっていたら、既にこれ一枚では夜は寒く、そろそろレザーやコートも必要になってきそうな気配です。といって も、この1年間突貫作業に明け暮れていたので、あまりワードローブを眺めてコーディネートを考えたりする余裕がないと言えばないのですが…。
去年の今頃ヨーロッパを満喫していたのに比べるとえらくストイックな毎日です。友人からも、いつパリに来るんだ、ベルリンはいつだと方々から便りを頂くので、一通り仕事が終わったら、会社の新サービスのプロモーションを兼ねてあちこち行きたいなと思いをはせる今日この頃です。バックエンドの制作から フロントの広報まで自分が行うと、体がいくつあっても足りないですが、その分ブレはないし、コントロールも柔軟に出来ます。当然、自分の動機が途切れれば それで終わりですが、自分の性格には合っていると思います。
この「動機を共有する」という作業が会社やチームワークでは非常に大事ですが、音楽に関してはそれがなかなか難しいというのがつきものですね。ミュージシャンの場合、自己実現的な欲求(例えばモテたいとか有名になりたいとかの利己的な欲求から始まり様々…)は大いにあったとしても、それをチームとして共有できるミッションや動機にまでシフトさせるなり拡げる工夫をしないと、チームとして関わるメンバーのやる気や問題意識をフォーカスさせることが出来ません。音楽に限らず、リーダーの最初の動機が個人的なものであればあるほどその”普遍化・共有化”が難しいのは当然ですが、さほど個人的なものでなくても、 案外難しい作業だと思います。「世界一の居酒屋チェーンを作るぞ!」「今月はうちの部署の売上をトップにしよう」とリーダーが鼻息荒く言ったところで、ナンバー・ツー以降はなかなかその動機を理解できない、ついていけない、なんてケースはどこでもよく聞きますよね。
最近はクラウド何たらとかソーシャル何とかなんて言葉も聞いたりと、この動機を伝える、拡げる対象を組織や物理的な距離に限定しない動き、もっと社会的な意義を持った動機をきっかけ・テコにして拡げていくアプローチについて色々と語られていますが、それが音楽という仕事にどう影響するのかなんてことを、リアルに感じる機会が増えてきました。
何故リアルかというと、ダンスミュージックの特性か、普段から海外の人とメールで仕事を依頼したり依頼されることが常識になってきているので、物理的に距離を隔ててチームを作ることや動機を伝えることが必須になっているからなんです。それがいわゆるB to B(ビジネス・トゥ・ビジネス)を超えて、リスナーとの関係にも拡がってきている、というか、最早リスナーではなくサポーター、引いてはお互いそれぞれのメリットを持つ利益共有者の様な関わり方になっていく傾向すら感じています。こういう話はITブログや書籍で流行ワードとして語られるまでもなく、自分の周囲でも普通に起こっている現象なんですね。
そう考えていくと、目の前にいるチームや物理的に近くにいる人に動機付けを無理くり工夫して行うよりも、「目の前にはいないが動機を強く共有出来る人」と仕事をこなした方が話が早い、 なんて状況が起こり得ます。ただ、そこにはこれまでとは違う大義名分やリーダーシップ、動機付けが必要とされるでしょう。少なくとも「同じ釜のメシを食った仲間」「親睦会で語り合った」的な信頼関係や浪花節的な世界とは質が違うから(笑)。
いや、実は、我々は遠く離れた人と同じ釜のメシを食ったかのような共同体験や感動体験を多かれ少なかれ既にしているのかも知れませんね。もしそれがないならば、僕もこうやって見えない皆さんに向かって、必然性がない時以外は写真も画像の飾り立ても色気もないこのfindings にお付き合い頂けていることを感謝しつつ、今日も書いとこうと仕事の手を休めてカタカタと走り書きしてしまうような衝動には駆られないでしょうから(^-^)。