日々のつれづれと、その日のお気に入りを紹介するマイクロブログ『Day By Day』を月別にまとめたページです。今回は2024年10月分を紹介。最新の投稿は https://www.tatsuyaoe.com/microblog/ にて。
2024年10月31日
マーケティングの話となると、セオドア・レビットの「顧客が欲しいのはドリルではなくて、穴だ 」というコメントが頻繁に紹介される。『誰のためのデザイン?』の著者は「違う、顧客がしたいのは壁に本棚を取り付けることだ。穴をあけなくても設置できる本棚や、本棚の要らない本(電子書籍)も答えだ」と意地悪な(笑)指摘をしている。人生何周かして、僕はカッコつけずにやっぱりドリルは欲しい。
誰のためのデザイン? 増補・改訂版
2024年10月30日
外出時に気になる音楽に遭遇すると、Shazamで調べるようになって7,8年が経つ。Uberで移動している時、お店で買い物をしている時など、思いもよらない時に名曲に出会えると何か得した気分。以前1曲1曲ライブで選曲しているカフェでかかっていたのがこの曲。メイン奏者のフィル・ウッズが素晴らしいのはもちろんだけど、プロデューサー/アレンジャー(ジョニー・ペイト)の貢献も大きい。
Phil Woods - Flowers
2024年10月29日
頻繁に使用しているメールアドレスを他のサービスのものに切り替えることにしたので、これを機に、もはや使っていないウェブサイトやメーリングリストの登録解除をしている。するとスパムも減るし、今の自分に必要なサービスが思ったよりもずっと少ないことに気付く。とはいえそれは結果論。好奇心を持って色んなことをやってみないと、何が無駄かは分からない。
SIDIBE - I'm Only Dreaming (Audio)
2024年10月28日
以前読んだジャロン・ラニアーの『Who Own the Future』の自分のメモを読み返している。「情報をタダにする風潮が許されるのは、その事で権利を奪われる人の数がごく限られている時だけだ」「タダということは、他の誰かがあなたの生き方を決めるということだ」という彼の指摘はますます説得力を増している。
Jaron Lanier - Who Owns the Future?
2024年10月27日
英語ブログを更新しました。2010年に『Numbers Game と Waiting Game』というタイトルで投稿した日本語ブログを大幅に加筆・翻訳したものです。この14年間、この時に書いた内容を忠実に実践してきたように思います。最近Numbers Gameの方を少しサボっていたような気がするので、この投稿を機に身を引き締めてまた頑張ります。
Numbers Game and Waiting Game: Mastering Opportunities and Time | Tatsuya Oe Blog
2024年10月26日
科学の世界では「全てのものは他の何かに似ている」というアナロジー思考が定着している。音は電気信号に似ているし、光にも似ている。そう考えたウディ・ノリスは音に指向性をもたせたデバイス(長距離音響発生装置)を発明した。軍隊や警察が使う音響兵器としての活用が多いのはさておき、「知らないことは既に知っていることから考える」好例ではあると思う。
ウッディ・ノリスの驚嘆の発明の数々 | TED Talk
2024年10月25日
YouTubeにCaptain Funkの公式アーティストチャンネルが出来ました。長い間、新しい動画は全てModel Electronicのチャンネルにアップしていましたが、CF関連はこちらのチャンネルも活用していきます。今日『Heavy Mellow(Deluxe Edition)』のメドレーをアップしたので、お楽しみ下さい。登録して頂けたら嬉しいです。
Captain Funk - Heavy Mellow (Deluxe Edition) [Album Medley] - YouTube
2024年10月24日
昨年リリースしたOE『Compositions in Blue』に収録されている「Mobius」をSoundCloudにアップしました。来年上旬の完成を目指して、この作品と『Compositions in Light』の延長上にあるOE名義のアルバムを制作しようと思っています。その前にも数枚のリリースを予定しているので、引き続きご期待下さい。
Stream OE - Mobius on SoundCloud
2024年10月23日
音楽専業で生活している独立系アーティストは11%にも満たないという記事を読んだ。東京でレコーディングからライブ、リミックス等で奔走していた20年前、街でバッタリ会った会社員時代の上司が開口一番、「まだ懲りずに音楽やってんのか?」。頭ごなしに若者(笑)を侮辱する無分別さに唖然としたが、幸い僕は独立して以来ずっと音楽一本で生きて来たし、「懲りた」こともない。
Music Industry Report 2023 | Xposure Music
2024年10月22日
かつて「スワンプ・ロック」「サザン・ロック」と言われるジャンルのレコードをひたすら聴いていた時期があった。今も大好きなバンドや曲が沢山あるけれど、不思議な事にアメリカに来て逆に縁遠い存在になってしまった。日本で聴き親しんだ「アメリカの音楽」をアメリカで俯瞰的・網羅的に接する機会は驚くほど少ない。それはともかく、Tedeschi Trucks Bandはツボ。
Tedeschi Trucks Band: Tiny Desk Concert - YouTube
2024年10月21日
伊福部昭『音楽入門』は、鋭い見解と問題提起が随所に散りばめられた、さしずめ伊福部版『How music works(音楽の聴き方・聴かれ方)』。頷けるところは多いが、手厳しい。ただ、この本が書かれた1951年はエルヴィス・プレスリーもケージの『4分33秒』も、そして自身が手掛けた『ゴジラ』すらも、まだこの世に現れていないことを前提に読むのがフェアだと思う。
音楽入門 (角川ソフィア文庫)
2024年10月20日
映画はそこそこ見るけれど、暴力シーンの多い映画を見る機会はぐんと減った。先日ある故・映画音楽作曲家の本を読んで、内容自体は楽しめたのだが、彼が手掛けた人気作には派手な銃の撃ち合いが結構あるので、音楽と一緒に映像まで振り返ってみる気にはならなかった。色々と訳あって、ハリウッドでの銃の使用がようやく減ってきたようだ。
Fewer Guns on TV Is a Result of the Hollywood Strikes, Study Reports
2024年10月19日
2000年を過ぎた頃だろうか、日本は「機会」を均等にするのではなく「結果」を均等にする国なんだと強く感じ始めた。チャレンジを恐れ、頑張る人を無駄な行為だと冷ややかに見る社会というのはどこに向かうんだろう?と。コロナ後に「消極的利己主義」なんて言葉が浮上してきたらしいが、今やこれが「民主主義」と同義になってしまった印象すら受ける。ただし日本だけ。
「何もしない方が得」な日本は変えられるのか 同志社大太田肇教授に聞く
2024年10月18日
「エピクテトスの様に考え、行動できたら」と思うことはしょっちゅうある。ただ奴隷出身だからか、セネカやマルクス・アウレリウスら他のストア派の哲学者に比べ、彼の思想には極端な「あきらめ感」、無力感が漂う。泥棒に物を盗まれても、妻を姦淫されても「自分の力の及ばないもの」として、相手に腹を立ててはいけないと説く。さすがにこれを文字通り受け取ってはダメ(笑)
エピクテトス 人生談義 (岩波文庫)
2024年10月17日
(2/2) 小泉氏のことを書いて思い出したのが、アメリカのルーツ(民俗・土着)音楽を集めた『Anthology of American Folk Music』。ハリー・スミスというビートニクの個人的コレクションをまとめたもので、これもよく聴いた。ところで、海外のミュージコロジストで日本の土着的な音楽を研究・紹介する人はいるのだろうか?と思ったら、おお、いらしたようだ。
音楽はなぜ人間にとって「極めて」大切か? 最後の琵琶法師を訪ねて知る、音楽と社会の関係性
2024年10月17日
(1/2) 民族音楽の大家として知られる故・小泉文夫氏がかつてラジオなどで紹介していた貴重な音源を含む、世界中のフィールド録音が今やハイレゾやストリーミングで聴けるというのは、ちょっとした奇跡だと思う。僕もアフリカやモンゴルの楽曲を集めたCDをよく聴いたし、この世界はどんなに掘り下げても興味が尽きることがない。
ムウェンデケ (ゼゼ・カンバ・クミとカンバ・クナンビリの弾き語り) - YouTube
2024年10月16日
日本にも「うるさい」場所は存在するけれど、アメリカ都市部の騒音はその比ではない。深夜の工事、パトカー&救急車、車から漏れるトラップの重低音、喧嘩、中毒者の雄叫び、違法花火、地域によれば銃声…。「Audio/Noise Pollution(騒音公害)」は想像以上に心と身体に影響するという雑誌New Yorkerの映像を紹介。穏やかにいきましょう。
Why Noise Pollution Is More Dangerous Than We Think | The Backstory | The New Yorker - YouTube
2024年10月15日
2019年12月にFindingsに投稿した『バラ色の人生と、ジバラ一色(自腹だらけ)の人生』という記事を加筆修正&英訳してブログにアップしました。過去の英語のブログの投稿もそれぞれ加筆修正しているので、興味をお持ちの方は是非立ち寄ってみて下さい。日本語タイトルのダジャレは翻訳していないけど、本文は日本語版以上に詳しく説明しています。
[/bpfb_link]Embracing Risk for True Freedom in Life | Tatsuya Oe -Blog-
2024年10月14日
自伝『Words Without Music』にあるように、フィリップ・グラスはシカゴ大学に15歳で入学、その後ジュリアード音楽院で学び、パリでナディア・ブーランジェに師事する傍ら、40代まで炭鉱夫やタクシードライバーとして生活費やレコーディング代を稼いだ。教壇に立って糊口を凌ぐことなど視野にも入れない、そのド根性こそが彼の音楽とキャリアをタフで大胆なものにしていると思う。
The Blue Collar Jobs of Philip Glass - by Ted Gioia
2024年10月13日
ある大ヒット映画を見たら、「大御所」が訳した字幕の3割位に違和感があった。あと、英検上級者の試験問題を見る機会があったのだけど、要約を求める元の文章自体が曖昧で構成が弱く、これで英語の実力を判定される受験者が気の毒だった。僕も反面教師にすると同時に、日本で外国語をメシの種にしているプロや教育機関は、チェック体制を二重・三重にして欲しいとも思う。
「人の振り見て我が振り直せ」の解説 : 故事ことわざ辞典
2024年10月12日
随分前に作成したDark ModelのFAQを更新しました。今後さらに内容を充実させていきますが、まずは現状に沿った答えになるように加筆修正しています。加えて、今回はDark Modelの「コンセプト」の背景になる部分を少しだけ綴っています。英語版のFAQも更新したので、そちらも併せてお楽しみください。
[更新済み] FAQs : Dark Model に関してのよくある質問集 | Tatsuya Oe - Japanese Blog
2024年10月11日
「考えること」の大事さは誰もが理解しているが、「考えないこと」=無心になることの大事さは意外と理解されていない。マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントのトレーナーと、禅僧のティク・ナット・ハン。すなわち熾烈な競争を勝ち抜く達人と、心の平穏(マインドフルネス)を説く達人。彼らの心構えが「Don’t Think」という共通項で繋がるのは興味深い。
The Man Who Coached Michael Jordan AND Kobe Bryant To WIN! Tim Grover - YouTube
2024年10月10日
先日紹介した『Grand Royal』と田宮模型の『タミヤニュース』は全く畑違いだけど、僕の中では近い存在。小学生だった自分には、専門的だけどビギナーを突き放さない懐の広さと統一された編集デザインに、大人の知的センスを垣間見た気がして魅力的だった。未知の世界を探検していて点と点が繋がってくるとワクワクするのは今も同じ。
『タミヤニュースの世界』田宮模型・編 | Amazon.co.jp
2024年10月9日
アメリカの都市部では現代(ヒョンデ)やKIAといった韓国メーカーの車をごく普通に目にする。現代財閥の創業者、鄭周永氏の自叙伝に書かれた、貧農に生まれた長男が家出をして建設業から自動車、造船まで事業を拡大させていく様は圧巻そのもの。「”そんなことができるものか”という反応があるたびに私は決まり文句を言う。”やってみたことがあるのか?”」
この地に生まれて: わが故郷、わが祖国 / 鄭 周永 | Amazon.co.jp
2024年10月8日
以前Findingsに投稿した、MER『Anti-Crime Breaks』のメイキングについての記事を加筆修正&英訳してブログにアップしました。Captain FunkやDark Modelに比べるとMER名義はまだ皆さんの馴染みが薄いかも知れませんが、過去の僕の作品、特にCF作品が好きな方なら、このアルバムは聴いて損はしない内容だと思います。
Making of MER’s Album “Anti-Crime Breaks” | Tatsuya Oe -Blog-
2024年10月7日
その昔Beastie Boys主宰のレーベル『Grand Royal』に同名の雑誌があった。マイアミ・ベースからダブ&レゲエ、カンフー映画まで、僕はこの雑誌の目の付け所と懐の広さが好きで、毎回発売を楽しみにしていた。今思えばストリートミュージック版の『Whole Earth Catalog』的な趣すら感じるが、こういうワクワクするものは短命に終わりやすいのが残念。
FLOOD - On the Shabby Brilliance of “Grand Royal” Magazine
2024年10月6日
Findingsを整理していて、2010年に韓国のClub Veraでリリース記念ツアーを行った時の映像に遭遇した。長らくこの時代を振り返る機会がなく、世界中がEDMブームに沸いた2010年代以降はDJブースから完全に遠ざかっているので、こんなに「DJらしい」ヴァイブに溢れている(笑)彼が本当に自分なのかと目を疑う位の衝撃と違和感。
JMC_Music Wired Party part 1 Captain Funk Highlight - YouTube
2024年10月5日
映画『フォード vs フェラーリ』は楽しめたが、フォードの社員やその遺族には少々気の毒だった。経営学の教授辺りは「保身や忖度が蔓延した組織に未来はない!」なんて優等生的な事を言いそうだが、「会社の未来」という概念は「絵に描いた餅」だと思う。忖度や保身が嫌いな人間はそもそも組織に近づかないし、悪役の副社長は少なくとも「会社の現在」には十分貢献した。
FORD v FERRARI | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX - YouTube
2024年10月4日
アート関連のポッドキャストでは暗い話題が続く。若手アーティストの急激な隆盛と凋落、オークションハウスの低迷など、お金の話ばかりだけど、今や投資以外の動機で現代アートに接近する人はほぼ皆無だから、当然関心はそこに集まる。お金や名声も大事だが、その誘惑に軽率に便乗して代償を払うのはいつもアーティストの方。景気が戻れば、他は誰も傷つかない。
キャリアが水没するような挫折──何が若手アーティストのオークション価格の暴落を招いたのか|ARTnews JAPAN
2024年10月3日
以前Findingsに投稿したブログを英語に翻訳して少しずつ掲載していこうと思います。これは『創り散らかす力』という、3年前マイクロブログを始める時に書いた、現段階では最後の長文投稿です。英訳はそれなりに手間がかかるけど、やってみるととても楽しいし、勉強になる。
The Power of Voracious Creation -Exploring the Transformative Impact of Artistic Abundance- | Tatsuya Oe Blog-
2024年10月2日
気に入っているイタリアのオンライン・ラジオ局Goodfellasが半年前に突然サービスを停止したので、日々のBGMはストリーミング・サービスやNTS Radioに頼っていた。ただ選曲に今ひとつパンチがないので退屈していたら、知らない間にGoodfellasが復活していて小躍り。俳優アントニオ・ジェラルディが主宰するこのBadassなラジオ、何とか続けて欲しい。
GOODFELLAS MUSIC STATION
2024年10月1日
8月にリリースしたOE『Compositions in Light』のアルバム・ハイライト(メドレー)をアップしました。今年作ったアルバムの中では最も好きな作品です。OE名義の作品はスタイルやジャンル的な制約から自分を解放して作っているのだけど、不思議なことに2002年の『Here and You』から続く「イメージの塊」が頭の中にあって、アイデアが枯渇する事がない。
[Album Medley] OE – Compositions in Light | Tatsuya Oe