日々のつれづれと、その日のお気に入りを紹介するマイクロブログ『Day By Day』を月別にまとめたページです。今回は2025年1月分を紹介。最新の投稿は https://www.tatsuyaoe.com/microblog/ にて。
2025年01月31日
僕がスマホを使う頻度や時間はかなり少ない方だけど、お気に入りのアプリも最近は使用中頻繁に広告がカットインし、集中を削がれることが増えた。自分のウェブサイトもバナーを貼っているので矛盾した話なのだが、優秀な広告ブロック機能を備えたブラウザのBraveは素直に感心する。Gmailや検索サービスを卒業し、よりプライバシーの保護を重視したメールや対話型AIへと、長らく当たり前に使っていたサービスから移行する機会が増えた。
進化したユーザーファーストのブラウザ | Brave
2025年01月30日
数か月ぶりにLAに住む仕事仲間の一人に連絡をする機会があった。彼の自宅は今回の山火事の被災地に近かった記憶があるので、「火事の影響がないことを祈る」と挨拶を書いて送ったら、何と、家のほんの手前まで火災が到達し今も避難中ということだった。そんな大変な状況の最中にも関わらず、文面の其処彼処に彼の心の回復力の強さや前向きさが感じられ、いたく感銘を受けた。
InBrief: The Science of Resilience
2025年01月29日
日本のジャーナリストやメディアは、欧米の動向に関する報道姿勢に比べると、インドや中国については暗い側面ばかりに焦点を当てようとする傾向がある。学問を含めた科学技術の世界での跳躍や経済モデルを冷静にウォッチし、彼らから何を学ぶべきかを前向きな視点で考察した記事や報道を見ることは殆どない。他国の政治や社会問題の「あら捜し」をして思い上がっている間に、取り組むべき「我々自身の宿題」は山ほどあったはず。
How Bangalore became the SILICON valley of Asia? | Business case study
2025年01月28日
昔調査の仕事に関わっていたので、統計やデータを雑に扱ったりバイアスを含んだ記事に対しては敏感な方だと思う。最近はオーソドックスな調査の結果だけでなくインターネット上の行動から得られるデータ(ビッグデータの一つ)やアルゴリズムに対しての監視や警戒がますます必要になってきているが、どちらにしても人間は調査やデータと聞くと「科学的なもの」だと思って鵜呑みにしてしまう傾向がある。この本のような啓蒙書がもっともっと増えて欲しい。
データを疑う力 : 数学力より論理力 - 麻生一枝
2025年01月27日
遅ればせながらBandcampでもOE『Moment of Now』の発売を開始しました。Suchnessシリーズの中では最も躍動感のあるアルバムなので、普段アンビエントミュージックを聴かない人もアクセスしやすい作品に仕上がっていると思います。僕は今これを聴きながら数列の問題と格闘していて、「漸化式(recurrence relation)」ってネーミング、なぜもっと取っつきやすい名前にしなかったんだろうとか考えてる。
2025年01月26日
朝起きて仕事始めによく聴いているのがニュージャージーにあるジャズFM放送局のWBGO。公共放送であるNPRと提携しているラジオ局で、コルトレーンから新進気鋭のジャズまで程よい選曲が気に入っている。先日オンエアされていたこのSambarandaによるアカペラ曲はブラジルの作曲家アントニオ・アドルフォの有名曲のカバーだと思うけど、リズムもハーモニーも新鮮で素敵。
Sambaranda - Cascavel [Official Audio]
2025年01月25日
韓国映画『不思議の国の数学者』という作品で、試験問題を漏洩した塾の名が「オイラー」だった。かなり前、この『オイラーの贈物』を本棚から取り出して時折パラパラと眺めていた事を思い出す。当時のAmazonの購入履歴を見ると、同時期に買って読んだのが幸田露伴『五重塔』、レム・コールハース『錯乱のニューヨーク 』、そして『Boxer: 辰吉丈一郎流発想法』など。どれが一番ファンクかと言われれば、迷わず一番最後。
新装版オイラーの贈物 - 吉田武
2025年01月24日
画家フェルナンド・ボテロのドキュメンタリーは、彼の”豊潤な”創作人生を知る興味深い作品だった。僕はコンテンポラリー・アートが好きだが、この映画でボテロを酷評していた評論家ロザリンド・クラウスとは違って、彼の作品は嫌いではない。音楽も含めてアートや表現というのは、予備知識や他人のうんちくを通してではなく、作品そのものに「体当たり」して作者の意図や感情を想像し、味わうのが楽しい。批評は風化しても、作品とその体験は永遠に残る。
BOTERO - Official U.S. Trailer
2025年01月23日
かなり前に購入したBeats Fit Proのウィングチップ部分が破損していたので自分で修理してみた。音に関係する部分が壊れるのは困るけど、関係ない部分が壊れるのも残念ではある。Redditでは多くのユーザーの不満が噴出していたが、Beatsは元々プロダクトの作りがしっかりしている印象はないから、今更腹が立ったりはしない。Appleで部品交換できるらしいが、このチップの交換だけで今ならそこそこ質の良い新品のNCイヤホンが2つ買える。
How to repair beats fit pro broken wingtip
2025年01月22日
漆黒、つまり漆で塗った光沢のある黒には独特の粋と品がある。僕は茶道には縁がないけれど、漆黒の茶器、特に抹茶を入れておく漆黒の棗(なつめ)は仕事場に飾っておくだけでも背筋が伸びて気持ちが引き締まりそうだ。先日、江戸時代初期に活躍した名工である関宗長が作った大棗をオークションで発見したが、以前楽器の薩摩琵琶が欲しくて物色していた時と同じで、相場がさっぱり分からない(笑)。
黒漆大棗 銘 来道人 文化遺産オンライン
2025年01月21日
「成功体験を忘れろ」というフレーズをしばしば耳にするが、大事なのは「自分は何で成功したのか」、つまり何が上手く行って、何が上手く行かなかったのかを冷静に分析しておくことだと思う。そこを軽んじると人間は「自分は全てが分かっていて、何をやっても成功する」と過信して歯車が狂い出す。技術やアイデアで成功した人がコミュニケーションや人たらしの世界で成功するのは大抵は難しく、その逆も然り。
Elon Musk's gesture at Trump rally draws scrutiny - BBC
2025年01月20日
新作『Moment of Now (Suchness 5)』ではこれまでのSuchnessの時間感覚や浮遊感に「時間を止める」という要素を取り込んでアイデアを練った。記憶に頼らず、感情も引き出さないでひたすら「今、目の前にあるもの」だけに意識を集中させる。それが習慣的にできるようになったら収穫は大きいと思う。なんて書いているうちに、写真家Lois Greenfieldの「時間の止まったダンス」作品を思い出した。
Epson Print Your Legacy | Lois Greenfield
2025年01月19日
人間は「オーバーシンプリフィケーション(行き過ぎた単純化)」に弱い。AIに例を挙げてと頼んだら、「貧しいのは怠け者だからだ」「若者はスマホとSNSのことしか考えてない」「移民が我々の仕事を奪う」と、いかにも質(たち)の悪いネットニュースで語られそうなフレーズが出てきた。国際政治学者ブライアン・クラースがこの映像で説明している「金持ちと才能の関係」も、認知バイアスやフェイクニュースの研究者なのに、話を単純化しすぎのような。
なぜ超富裕層だけが裕福になるのか、2つのチャートで暴く(英語)
2025年01月18日
アメリカでは顧客による「集団訴訟(クラス・アクション)」が頻繁に起こる。僕も「ユーザーのあなた、勝訴した場合は和解金の一部が返金されるので参加して下さい」といった案内を受け取ることがある。先日も不当に料金を請求しているとして通信会社に100ミリオン規模の和解金を求める訴訟があったが、結果振り込まれたのは数ドルだったとか。金額はさておき、泣き寝入りではなく「当事者同士が対峙する」機会を作れる意義は大きい。
Verizon settlement money goes out to customers - CBS News
2025年01月17日
本日OE『Moment of Now (Suchness 5)』がリリースされました。従来のSuchness的なアンビエント・サウンドにビートが加わることによって、新たな時間・空間感覚が備わったと思います。各サービスへのリンクは後日トピックのページに掲載しますが、Apple Musicその他のOEページで既に試聴が出来るので、是非聴いてみて下さい。
Let Them Come, Let Them Go (Beat Mix) - Apple Music
2025年01月16日
曲を作っている時はα波が出ているのか、とてもリラックスできる。作業の調子が出てくると居眠りする位。その反面、メールや事務作業といった「現実仕事」は全く落ち着かないので、極力作業を減らしている。それが最近、もう一つリラックスできる作業を見つけた。それは数学の問題集を解くこと。余計な事を考えず穏やかな気持ちで白紙に向かってペンを持ち、すっと作業に入り込める。問題を解いてお金がもらえるなら言うことないのだけど(笑)。
知っておきたい生産性向上の科学:脳の「アルファ波」と「フロー状態」との関係を説く
2025年01月15日
アインシュタインはアメリカでも驚くほど人気者で、彼の業績や発見がどこまで理解されているのかはさておき、とにかく彼の名前は頻繁に引用される。WIRED元編集長のケヴィン・ケリー曰く、「知性は過大評価されている。アインシュタインとトラを同じケージに入れたら、生き残るのは賢いほうではないのです」。ただ、人々が心配しているのはAIがどこまで知性的になるかよりも、「AIがトラ(=暴力のトリガー)になる日」ではないのかなと。
AIやテクノロジーの発展を愛しながら童心を忘れずに生きる方法
2025年01月14日
Spotifyに限らずストリーミングサービスの「ブラックボックス」、つまりアルゴリズムとその背後にある運営側の「意図」に長らく不信感を抱く人は多い(リンクはハーパーズに掲載されたスクープ記事)。この手の領域に関心がある日本のジャーナリストや研究者もいなくはないだろうが、音楽評論家やデータサイエンティストが骨太な分析や批評を披露したのは見たことがない。海外のサービスを鵜呑みにしないで監視・リサーチする姿勢がもっとあっていい。
2025年01月13日
最近のUS/UKのヒット曲はAメロ、Bメロ位の構成要素はあるにしても、ブリッジ(つなぎ的な展開)が入るものは少ない。まして転調は(ヒット曲の中には)この数十年殆ど見られないらしい。僕は長らく歌モノを作曲していないが、ブリッジや転調こそが歌モノの妙味だと思っている。’80-90年代中盤辺りまでのポップR&Bは、この曲の様に印象的なブリッジが盛り込まれているのも魅力の一つ。それにしてもJY Taylorの健在ぶりにびっくり。
Ladies of Soul 2018 | Ladies Night - JT Taylor
2025年01月12日
プールで泳ぐのと海や川で泳ぐのは全然違う。後者は免疫力をつけ、血流の循環やエンドルフィンの放出にも役立つらしい。ただ、人はひとたび快適領域に落ち着くと、あえて波や潮のうねりの中に飛び込もうとはしない。上からの過剰な保護やルール、そしてリスクに対する恐怖心があまりに強いと、学びや成長は止まる(そして自己正当化や排他主義に走る)。新陳代謝の悪い社会というのは、「安心安全」を売りにしたプールみたいなものだろうか。
5 Reasons to Swim In Natural Waters
2025年01月11日
超音波を使って鋭い指向性を持たせることができる音響システムを「パラメトリック」とか「ハイパーソニック・システム」と呼ぶ。技術マニアの間では時々話題になるけど、民間で爆発的に普及するほどのニーズはあまり見つかっていない。かといって、軍事畑でのニーズは(他国ほど)日本にはない。デジタル技術の遅れは言うまでもなく、日本のイノベーションのスピードが絶望的に遅い理由がどの辺りにあるのかを考える機会が増えた。
HyperSound Glass – The World’s First Transparent Directional Speakers
2025年01月10日
何年か前にEvernoteからOneNote (Microsoft)やKeep (Google)に移行して、メモやノートを記録している。ただKeepは他のサービスやアプリにスムーズにデータを移行することができないのが難点。Pythonを使って格闘してみたが、APIに問題があって手動で移行した方が早かった。これらのメモアプリにそんなに複雑な事を求めているわけではないし、既存のサービス選びに煩わされるくらいなら自作してしまうのも今風なのかも知れない。
Next.jsでEvernoteの代替アプリを自作してみた - Qiita
2025年01月09日
この10年世界はトランプとアルゴリズムに振り回されてきた。この二つは全く別物に見えて、人々の感情を喚起し扇動するマシンという点では同じ機能・効果を持つ。インターネットはもはや情報のディストリビューター(流通・分配・拡散機)よりも、「感情のディストリビューター」の側面の方が強い。感情は売れる。昔はそれを確信犯的に使うのはメディアや政治家等に限られていたが、今は誰もが感情の錬金術師にも犠牲者にもなり得る。
感情をなくす14の方法(英語)- wikiHow
2025年01月08日
遅ればせながらNHKの『3か月でマスターする世界史』が面白い。農耕文明ではなく遊牧や交易活動の貢献、そして宗教の伝播という視点で東西の発展を紐解くというのは、超定住型の日本ではあまり歓迎されなかった歴史観だと思う。モノやカネ、情報を左から右に運び、流すことで富を生む「移動型・仲介型プラットフォーム」のコミュニケーション能力と臨機応変さ(=ずる賢さ)は、標準的な日本人の資質とは真逆なので学ぶところ大。
3か月でマスターする世界史 | NHKオンデマンド
2025年01月07日
自分が知らない事を調べたり学ぶのは楽しいし、数時間や数日もかければかなり習得した気になれる。その反面、創作というのは終わりがなく、数日取り組んでも思うような成果が得られないのが当たり前。タイパや効率なんて考え始めたら創作はやっていられないが、それ一点張りで時間を際限なく注ぎ込めるほど人生は長くない。というわけで、コンプトンといえばドクター・ドレーだけじゃないことを学ぶのも、創作生活にメリハリをつけるのに役立つ。
トライ【高校物理】原子 コンプトン効果
2025年01月06日
先日大数の法則について触れたが、「試行回数が増えるほど、結果が期待値に収束していく」ということは、勝負の回数が増えるに従って、真の実力や普段の努力の成果が浮き彫りになるということ。人生を運任せで乗り切ってきたと思う人は、出来る限り転職や引越などの「転機」を避ける消極策を取るのが賢明かも知れないが、不断の努力の裏付けがある人は、挑戦や出会いを増やせば増やすだけの収穫や成長があると思う。
Hiroyuki Sanada Urges Young Actors to "Never Give Up"
2025年01月05日
ローレンス・J・フォーゲルは、ノイズ・キャンセリング(NC)技術や初期のAIともいえるプログラミングを開発した天才科学者なのだが、アメリカでもあまり注目されない(僕もつい最近まで知らなかった)。NCのアイデアは戦前からあったものの、フォーゲルが1950年代後半に取得した一連の特許の概要を見ると、その実用化を一歩進めたのは彼であって、航空・軍事技術の派生として開発されたことが分かる。ヴォコーダーの歴史とよく似ている。
Long Story of Noise Cancelling Headphones
2025年01月04日
僕は日本語のスパムやフィッシングメールを受け取ることは殆どない代わりに、英語のスパムメールや売り込みメールには長らく迷惑している。現在、20年近く使ったGmailのアドレスの廃止&引越しの準備をしているのだけど、大事なアドレスなので移行には半年くらいかけるつもりでじっくり取り組んでいる。僕の場合Mbox Viewerを使ってバックアップしたらとてもスムーズに出来た。
GmailやGoogleドライブのデータのバックアップ方法は? | 京都大学情報環境機構
2025年01月03日
YouTubeでDark Modelの動画を見る人がどのデバイスを使っているかを調べると、96%位がスマホとなっている。僕はもちろんスマホは持っているけど、外出で音楽やポッドキャストなどの「耳」を使う時や特定のApp以外のインターネット利用は大部分がパソコン。現代を鋭く斬り、未来を語る科学者、バーツラフ・シュミルは未だにスマホを持っていないらしく、自分もそこまで振り切った「潔さ」が欲しいと思った(笑)。
Reconciling Slow Transition & Fast Climate Change | Vaclav Smil
2025年01月02日
最近エネルギー周りの本を読む機会が増えたのだけど、その中で静岡の相良油田のことを知って驚いた。先進国でダントツにエネルギー自給率が低い日本で、東北を中心にかつて油田があり、小規模ながらも生産活動を行っていたというのは不勉強だった。エネルギー、原材料、農産物、繊維など、自給率が低くて憂慮すべきものは沢山あるが、まず憂慮すべきなのは自分の知らなさ加減だと感じる今日この頃。
静岡県に油田が?!牧之原 相良油田 | NHK
2025年01月01日
大数の法則や期待値の低さを引き合いに出して、宝くじは「愚か者が払う税金だ」というのは野暮だと思う。宝くじを買う人の心理は様々だと思うが、財産や貯金を失うほどの金額をつぎ込む「超絶に非合理的」な人はまずいないし、カジノや競馬の様なギャンブルと違って関連出費や交通費、時間も必要ない。たまに数百円から数千円のくじで「ワクワクを買う」のが楽しいのなら、たとえ外れてもささやかな「便益」を感じる人だっているはず。
ガチで当てにいくだけじゃない!宝くじの意外な楽しみ方6選