先日Newsのページでもお知らせしたPanasonic のサイト、もうご覧になれましたか?僕は三編のうち二編の音楽を担当させて頂きましたが、「金魚」編で行った、「インタラクションを想定した音作り」というのは普段あまり経験がなく、個人的に様々なヒントを頂けたように思っています。
(「金魚」編というのは、ユーザーがマウスで金魚を追いかける、その動きに応じて、サウンドが変化するといった仕組みのものです)
インタラクティブに動く映像上の時間感覚の中で音楽を再構築するというのは、時間軸を「一方的に」決めた上で作ることが前提となっている普段の作曲や編曲作業とはかなり異なりますから、とても新鮮に感じましたし、ウェブというインタラクションの仕組みが生まれたことによって、実は音楽の成り立ち自体も再定義されていく可能性もあるんじゃないかなとすら思った次第です(もちろんこういったインタラクションの一部は既にゲームの世界で実現されていますが)。
音楽データを転送量のキャパシティを気にしないでネットで流せるようになったのは、まだつい最近のことだし、ネットでの音楽の利用というと今はまだ一方向的なストリームの延長に多少オンデマンドな性質が加わった(つまりラジオやテレビなどの既存メディアが代替化しただけ)程度ですから、面白くなっていくのはむしろこれからだと思いますね。聴く側によって音楽のシーケンスや時間軸がねじ曲がる、聴く度に別の曲になる、なんてワクワクしませんか?
もし見る側の反応や動きによって、生成される音楽がもっとリアルタイムに変化していくとしたら、それは視聴者が作曲に加わっている、もしくは一緒に作曲している状況にまで持っていくことが出来るかも知れないな…、なんて事を数年前 OE としてライブ活動をしている時によく考えていたのですが、今回のウェブの作業を通じて、またそういったメディアアート的な音楽のとらえ方も再燃して来ました。
以前からよく考えることですが、作曲という行為が完結しない「永遠にベータ版」の世界に突入したり、ネットを通じて参加者全員が作曲をしたと言えるような「オープンソース」なスタイルが実践されていく時代はもうすぐそこに迫っていると思います。もちろん、それと僕らが普段作っている「商業音楽」の作曲活動とはフェイズが異なるものですので、そういった状況を何と呼ぶようになるのか、著作権の問題をどうクリアにしていくのか等、具体的な見解についてはまだ何とも言えませんが…。
まずは常識的なクリエイティブなプロセスを抜け出た「発見」を沢山味わう、楽しさを沢山見出して経験値を増やす、ということが大事なのだろうと思います。バンドだって堅苦しい言い方をすれば、固定的ではあるが「集合知」とも言えるし、現場でのDJなんてオーディエンスとの共同作業に他なりませんからね。オーディエンスがいない空っぽの部屋で壁に向かってスピンしたら、絶対同じ選曲にはなりません(笑、僕の場合はね)。
と、今日はマジメな話に終始しましたね。次はまたいつものfindingsに戻ると思います!