必死に働くことよりスマートに仕事をすることを良しとする風潮がありますが、「必死に働いたことがなければスマートに働くことは出来ない」というのが本当のところだと思います。多少ぎこちなくても大らかな気持ちでハードワークに取り組み、それを楽しみましょう。
NYの冬は寒いと覚悟していたとはいえ、気温は氷点下が当たり前、数日おきに大雪か吹雪という今年の異常気象ぶりには最初少し戸惑いました。でもそれも何とか適応できるものですね、今のところ風邪もひかず元気に生活しています。寒くて困ることと言えば、静電気体質(?)・乾燥体質の僕は、家中の金属に触れるたびにビリッとショックを受けるのが拷問の様に感じられることでしょうか(笑)。
このところDark Modelのアルバム制作に集中しています。収録曲は16, 7曲程度を予定していて、その半分以上は未発表の新曲になると思います。この数ヶ月20曲程度のスケッチを作りながら、曲を絞り込んで来ました。今回はリリース時にまとめて新曲を発表する予定なので、皆さんの耳に届くまではもうしばらく時間がかかるかも知れませんが、ぜひ期待していて下さい。
Captain Funkに関するお知らせとしては、Newの方にも書いたように、”Endless Possibilities (feat. Raj Ramayya)” が米国ABC Familyのドラマ “Switched At Birth” でフィーチャーされました。この番組シリーズは「スイッチ -運命のいたずら-」という邦題で日本でも放送されているらしいので、いずれオンエアをご覧になれるかも知れませんね。僕は幸い自宅のテレビで自分の曲を確認することが出来ました。
ドラマ・映画と言えば、Dark Model の世界観にも通じるようなSF、パニック映画ももちろん好きですが、一番自分にフィットするのはやはりコメディです。日本にいた時もよく見ていた「Modern Family(モダン・ファミリー)」や最近気に入っている「Parks & Recreation(パークス・アンド・レクリエーション)」などは、人と人のコミュニケーション上の気まずさ、間の悪さ、ぎこちなさ (”Awkwardness”) をユーモアに転化する手法がとても上手く盛り込まれていて、制作で疲れた頭と体をリラックスさせるにはもって来いです。この”Awkwardness”がアメリカのコメディに頻繁に盛り込まれるようになったのは90年代以降の話で、それまではもう少し体を張った笑いやストレートなジョーク、ウィットが中心だったように思います。人種や性別、年齢とは関係なく、人間誰しも自分の間の悪さやぎこちなさを恥ずかしく思い、それと毎日格闘しているものです。全てにおいて完璧にスマートに振る舞うこと、「上手くやる」ことなんて出来ない。人間は間違いをする不完全な生き物なんだ、でもそれでいいじゃない(&他人と自分の間違いを許容する大らかさを持って前に進もうよ)ってことをこういうコメディは教えてくれているような気がしてくるのです。
最後にディスカバリー・チャンネルの番組「Dirty Jobs(ダーティー・ジョブズ)(邦題「突撃!大人の職業体験」)」でよく知られているMike Rowe(マイク・ロウ)のTEDでのスピーチを紹介します。彼は自分のウェブサイトで”Work Smart NOT Hard? REALLY?“というタイトルでブログを書き、必死に働くことよりスマートに仕事をすることを良しとする風潮に警鐘を鳴らし、本当に必要なのは”Work Smart AND Hard”だと言っています。正にその通り。さらに僕が付け加えることがあるとしたら、知的・肉体労働問わず「一生懸命働かなければ(働いたことがなければ)スマートに働くことは出来ない」ということです。さらに逆説的に言えば、本当にスマートに働いている人は自分がスマートに働いているかどうかなど意識すらしないものです。スマートさや彼のスピーチに出てくる「安全」という概念は、ハードワーク、泥臭い仕事、もしくはリスク(=責任)テイキングの後に得られる「副産物」なのであって、逆はあり得ず、またそれ自体を目標にしたり中心に据える類のものではありません。
それが理解できるようにするにはどうすればいいのか?残念ながらやはりハードワークとダーティーワークしかないということですね(笑)。