マスタリングまで時間に余裕があったので、先日お話したドイツのグループのリミックスの修正作業をし、最終ミックスを送りました。尺は相変わらず長く10分ありますが(笑)、より聴きやすく、よりメリハリが出るように細かいミックス調整を行った次第です。
意外に思われる時もありますが、僕は作曲に関してもミックスに関してもかなりのざっくり派です。細かい作業が得意と言われる日本人ですから、人並みに細部にこだわる部分はそれなりに持ち合わせているのだと思いますが、基本的には曲全体として感じるエモーションや作業上の勢い(ノリ、モメンタム)を重視しているので、各トラックや素材を分解して細かく見ていくと、案外ラフな部分が見え隠れすることがあるようです。以前一緒に作業をした友達から「すごいパンクだ!」と褒め言葉なのかそうでないのかよく分からないコメントをもらったことがありますが(要は雑だということです、笑)、結構当たっているかも知れません。あと、ピアノの音が「突き放したような、ぶっきらぼうな弾き方」らしい(爆)。
「クソの様な音をした偉大なレコードなんて幾らでもあるじゃないか」
トッド・ラングレンがある日本のバンドをプロデュースした時に、そのバンドのメンバーが「この部分の音がどうしても気になる」と言ったら、「そんなとこ気にするのは世界でお前一人だけだ」と言って軽く流したという話を聞いた事がありますが、その気持ち何となく分かります(^-^)。音楽は総合芸術的、というより総合力勝負ですから、あまり微細な要素にこだわりすぎると、リスナーの気持ち(耳)に立って大局を掴む眼力が失われることがあるように思うのですね。Black Crowes(ブラック・クロウズ)や Primal Scream(プライマル・スクリーム)のプロデュースでも知られ、しばしば Rick Rubin(リック・ルービン)の後継者的な存在と見なされているGeorge Drakoulias(ジョージ・ドラコウリアス)も、この Taxi というページのインタビューで「問題は音の良し悪しじゃない。クソの様な音をした偉大なレコードなんて幾らでもあるじゃないか。オレはもうサウンド(のクオリティ)は気にしないんだよ、マジで。」と言っていますが、もちろんわざわざ音を悪くする必要はないけれども、それよりも良い楽曲、エモーションを掻き立てられる音楽を作ることに力点を置くべきだと言いたいのでしょう(当然ながらこの辺りは主観的な問題ですから、人それぞれ自分にあったセオリーで音作りを行うのが良いと思います)。
I think in some ways if the song is OK and it’s a good song, the rest of it doesn’t matter. There are a lot of great records that sound like shit. I don’t even care about sounds anymore, really—I’m over it in a way.
– George Drakoulias
ところで、このところCF のYoutube ページのテコ入れ&拡充作戦を考えています。世の中ソーシャルメディアだらけではありますが、結局のところ世界中で誰もが使い親しんでいる「音楽が聴ける」サービスとなるとやはりYoutube になるのだなということを最近よく感じるためです。海外との仕事においても、参考曲やイメージ曲を紹介する時にも Youtube リンクを使って説明されることが常套手段になっており、こういう場合は数十秒しか聴けない iTunes ではなかなか要件を満たせない場合が多いです。
というわけで、このFindings を読んで頂いている方にはお馴染みの曲ばかりになるかと思いますが、過去の作品を徐々に Youtube でも紹介していこうと思っています。真っ黒の画面で音源だけ無骨にアップするわけにもいかないので(笑)、静止画+タイトル位のビデオを作って掲載していく予定です。もちろん、MP3ストアで配信・販売されている音源よりは相当音質が落ちますので、普段の観賞用・DJ用としては各ストアで販売されている音源を購入して頂けると嬉しいです。
ドイツのリミックスが終わったところで、次はお隣の国フランスのアーティストのリミックスのオファーが来ました。CM制作もまだ残っているので、しばらくは制作の日々が続きそうです。
PS: まだ実験段階ですが、tumblr も目下試しています。話題はFindings と重複するかも知れませんが、こちらは英語で気ままにかつ徒然と…。