世界がフラットになってきたと感じる瞬間
相変わらず熱帯夜が続いていますが、皆さん体調を崩していないでしょうか?僕は先週末から夏風邪らしきものをひいて、若干バテ気味でしたが、ようやく持ち直したところです。色々な作業が重なった上に、このところ日本にいながら時差のある、ちょっと変わった生活をしているので、気力に体がついていかない感じでした。
ここ数日間Model Electronic Libraryのテコ入れをしています。これまではWordpress を使って強引にデータベースを作っていたのですが、その後楽曲が増えて更新が手間取るようになってきたことや、もっとユーザーの方が検索~ライセンス作業までの手続きをスピーディーに行えるように、現在別のシステムを新たに組み込んでいるところです。そのサービスを運営しているのはアメリカの会社なのですが、システム開発をしているのはイスラエルの会社なので、アメリカに質問をするとイスラエルから返事が来るという、若干変則的なコミュニケーションです。
とはいえ、世界がフラットとなった(と言われる)今では、これもごく普通な事と言えるのかも知れません。最近友人のアメリカ人が、ニューヨークのタウン情報にソーシャル・ネットワーク的な機能を組み込んだウェブサイトを最近立ち上げたのですが、そのサイトも開発自体はイスラエルのプログラマと共同で行っていると言っていましたし、僕もこの一週間だけ振り返ってみても、スイスにいるMeri Neeser とギグの内容を考え、マケドニアからは企画の提案が、韓国からは”Versions2011” のプロモーション報告が届き、LAからはトレイラー(映画予告編)用の楽曲提出のオファーがあり、ロンドンのディストリビューターとこまごまとしたやり取りをしながら、東京のプロダクションと電話で中国向けの化粧品のCM作業の進捗状況の確認をし…、と自分がどこにいるのかよく分からないような状態になっている(笑)。というよりも、機材と連絡手段さえあればどこに住んでいても仕事が出来る状態に徐々に近づきつつあるような気がします(もちろん、この「機材」の問題が実は一番厄介なのですが)。
実際彼らの一部には、オフィスを離れほぼBlackberryのみで1日の仕事を終えてしまう人もいたりしますが、音楽を制作しなければならない自分はまだまだそこまでシンプルにはいかないものの、出来る限り身軽で質の高い仕事が出来る様な環境に持っていきたいと考えている今日この頃です。といいつつ、僕は未だにBlackberryどころか、スマートフォンもiPadも全く使ってないのですけどね(笑)。
話は変わりますが、先日Facebook のCaptain Funk ページで、ファンの方から(確かインドネシアの方)「”Knight of Electricity” がこういう番組で使われていたよ」と、日本のバラエティ番組をアップした Youtube のリンクを教えてもらいました。僕の楽曲はとても有難いことに民放テレビ番組でよく使用して頂いているので、その内容自体に驚きはなかったのですが、海外のリスナーの方が日本のテレビ番組に僕の楽曲が使われていることを Youtube で発見し、Facebook 経由で僕にフィードバックされるというプロセス自体に、非常に新鮮なものを感じました。
フラットでない部分がガラス張りになる瞬間
フラットな世界というか、ブーメランな世界というか(笑)、世界のどこで誰が何を見て、聴いているのか、そしてそれをどう感じているのかがさっぱり予測がつかないというのは非常にエキサイティングでもあると同時に、発信する側の責任や覚悟というものを改めて感じさせられますね。日本のような単一言語(傾向の強い)社会では、文化や情報の流通の仕方が内輪ノリ(ハイコンテクスト)もしくは舌足らずになりがちで、それが独自のコミュニケーションや文化体系を生んできたという美点もありますが、今はそれが外から筒抜けのガラス張り状態になっていて、日本について様々な人が様々な場所で、様々な解釈を(時に一方的に)する機会が膨大に増えている。そういうことも最近は認識しておかなければならない時代になってきたということでしょうか。
「違う人達」とのコミュニケーションを前に進めていく
日本では、最近の日本のカルチャーは”Cool Japan”と言われて海外で好意的に解釈されているという認識が(恐らく実体以上に)定着していますが、”Cool”ではなく単に「奇妙」「理解不能」と思って引いてしまう人も沢山いるのも事実です。(それ以前に差別や偏見の問題はまだまだ大きい。世界の「認識」「価値観」は全然フラットではなく、むしろ衝突や軋轢はここにきて高まっている印象すら受けます。) 大事なのは、それでいいじゃないかとかダメだとかという(結論の出ない)議論を(これまた内輪だけで)することではなくて、その違いを理解した上で「どう繋がる、繋げるのか」を考えながら、その「違う人達」とのコミュニケーションを実際に前に進めていくことではないかと考えています。人間一人では生きていけないように、国も一つの国だけで生きていくことは出来ない。今後そういった思いを強くする局面がますます増えてくるような気がするのは僕だけではないはず。
今日は上の Knight of Electricity にも少し通じるところのある、”Superfoxy (feat. Krusher)” の未発表ミックスを抜粋紹介します。原曲よりもグッとコワモテになったかも知れませんが、中盤はメロウです。
追記:このミックスは2013年発売のCaptain Funk “Chronicles 2007-2013 Vol.1“に収録されました。