先日のアレキサンダー・マックイーン氏の訃報は驚きました。深夜仕事をしていてたまたまDiggの記事を拾っていたら、死亡後報道されたばかりのニュースが載っていたので、大きな衝撃を受けました。クリエイターとして当然ながら注目、またリスペクトしていた人だけに、とても残念です。
僕は彼の事を「怒りをエレガンスに昇華する人」だと捉えていました(勝手な解釈です)。怒りを怒りで表現する、退廃を退廃的に表現することが得意なクリエイターは沢山いますが、それを洗練された美に転化出来る人はそうそういない。そんな事を考えさせられる今日この頃です。
さてその後の僕は、あるレコーディングのためのトラック制作をしたり、相変わらずMIDEMのフォローアップその他海外とのやり取りに奔走しています。ライセンスやリミックス、DJギグの依頼など、ヨーロッパ、アメリカ、そしてアジアと、頭の中の地図を駆け巡らせながらスケジュールを組み立てているところです。具体的に見えたところからまたお伝えしていきますので、お楽しみに。
昨日は外出時に読み始めた「ザ・エージェント」(鬼塚忠著)にハマりました。僕は著者の方を詳しくは存じ上げながったのですが、作家に惚れ込み彼らの作品を世に出すべく出版社を果敢に攻める著者の熱さ、モティベーションの高さが手に取るように伝わってくる良書だったと思います(実際、この方の手掛けた本を自分もかなり読んでいたことにも今更ながら驚かされました)。業界は違えど、また方向は違えど自分も思いは近い部分はありますから、読んでいて良いパワーを頂きましたね。途中に紹介される様々なエージェント(”You complete me” で有名なジェリー・マグワイアのモデルとなったリー・スタインバーグから団野村氏まで)に関するエピソードも知られざる秘話が多く、個人的には読みどころ満載でした。
このモティベーションの高さ、そして前掲の「怒り」、これは創作に関わらず仕事においてとても重要な要素だと思っています。葛藤やクエスチョンを持たずに仕上げられた仕事なぞ迫力がない、なんて今どき暑苦しくて語弊含みの表現を使うと抵抗を感じる方もいるかも知れませんが、キレ芸をすべしという意味では全くありません(笑)。自分がどこまで徹底できているかはさておき、最高に洗練された仕事、最高に人を幸せにする仕事はゴツゴツの感情のマグマが昇華された結果、初めて生まれるのだと信じているのです、未だに。
今日はビデオが地味ながらも洗練された雰囲気の George Michael “An Easier Affair” を。曲も派手さはないですが、実はアレンジに細かい展開があり、よく練られた無駄のない作品です。単純に「洒落た曲に洒落たビデオ」レベルのスタッフィングではないことが伝わってきますね。