当然ながら、労働はそもそも時間ではなくて成果で計るべきものだとは思いますが、ある程度時間をかけずして成果を出すことを期待するのは土台無理な話ですよね。最近は妙に合理的に仕事を済ませようとする傾向がありますが、ルーティーンワークをある程度合理化することは出来ても、それだけでは飛躍的な成果の伸びを期待することや、成果の質を変えることは難しいのではないかと思います。今年はそういう思いをますます強くした1年でした。
Numbers Game:「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」をポジティブに捉える
あまりポジティブな意味に使われないように思いますが、「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」ということわざがあります。僕がこの言葉を聞いていつも思うのは、「人間は数打っている間に鉄砲を改良する工夫を思いつくようになるし、打ち方を改善していく能力も備わっていく」という視点が抜け落ちているなということ。下手な鉄砲で数打っている間に、鉄砲にも打ち方にも磨きがかかってくる。でも最初は誰もが下手な鉄砲から始めなければならないし、数打たなければ上達も洗練も幸運も巡ってこない、そういうものだと思うのです。
自分の知性に少しばかり自信のある人は、数打たなくてもある程度それらを予測・体系化し、カバー出来ると鷹を括る(たかをくくる)傾向があるようにも思いますが、やっぱり打って打って打ちまくらないと見えてこないものや、巡ってこない幸運は沢山あると思います。知識や勘でそういったことをカバー出来る範囲というのは、実は非常に限られているし、それを仕組みとして理念上把握していることと、実際に体感して掴んでいることとは全く別物です。
先日ある人がインタビューで”Numbers Game(数のゲーム)”という言葉を盛んに口にしていたのが印象に残りました。上の様な「数打ちゃ当たる」そのプロセス自体をゲームとして楽しめるかどうか。これはどんな仕事においても非常に大切な心構えではないでしょうか?数打っていく中での一つ一つの結果を深刻に捉えすぎず、ある種のゲームだと思って楽しみながら打続ける。そんな心のキャパシティがあれば飛び込み営業も怖くない、いや飛び込み営業の話ではなくて(笑)、何にチャレンジするにしても平静な気持ちを保って事に取り組めるのではないかと思います。
Waiting Game:「待つ時間」を味方につける
これに加えて、よく頭をよぎる言葉に「Waiting Game(待ちのゲーム)」があります。数を打ってレスポンスがあるまで、成果が出るまでには相当な時間を要すること、また最終的に成果自体が見込めないことも往々にしてありますが、その間の「待ち」自体を楽しむこと。これも非常に大事なことだと思います。決して固執して成果を待ち焦がれたり逆ギレしてはいけません(笑)。逆ギレしている時間があったらまた鉄砲を構えて別の方面に打ちまくった方が賢明です。そのうち待っていることすらも自分で忘れてしまいます(爆)。
年始のMIDEMに始まり、今年はいつもに増して様々な方と知り合うことが出来て、大きな成果もありましたが、それらを通じてこの”Numbers Game”と”Waiting Game”の大事さと楽しさをますます実感できたように思います。いわばこの二つは「攻」と「守」の関係にあると思いますが、この二つをバランスを取りながら動くのは案外難しい。カンファレンスや交流会でもチラシのごとく名刺をやたらとバラ撒きまくっている人、逆に守り神のごとくブースに入り浸り内輪で群れてしまう人、どちらもそれだけでは収穫は見込めそうもありませんものね(笑、ただ、前者の方が遥かにマシだし前進の余地はあるでしょう)。
思えば僕がイタリアからデビュー出来たのもヨーロッパのレーベルにデモテープを送りまくったのがきっかけですが、FAXと電話、航空郵便でやり取りしていた当時に比べると、今は”Numbers(可能性)”は格段に増し、”Waiting”する時間(待ち時間)は飛躍的に短縮されました。ただその分、鉄砲を磨かないであらぬ方向に無駄打ちをしたり、”Waiting”することにしびれを切らしてしまう傾向が強まっているかも知れません。
コミュニケーションが容易になったことで、より慎重さや辛抱が問われる時代なのかも知れませんが、その慎重具合も辛抱具合もやはり打ってみなければ感覚は掴めません。というわけで、2011年も打って打って打ちまくり、待って待って待ちまくる、そんな充実した1年にしていきましょう!
最後に告知ですが、Captain Funk のアルバム・アートワークやステージデザインを手掛けて頂いている Passion Yoko さんが来月5日より南青山のギャラリーPLSMIS(プラマイ) にて新進気鋭のアーティストの方々と共にグループ展 “The Performing Pot of Arts” を行います。CFのアートワークのセンスに共感された方、また彼女のホームページを見て作品に興味を持たれた方は是非1/5(水)~1/12(水)の間にギャラリーに足を運んでみて下さい。
今日は個人的に Todd Rundgren や Pilot, Badfinger 辺りを思い出させる Ariel Pink‘s Haunted Graffiti “Beverly Kills“(アルバム”Before Today“収録)と、その途中で発見した、Parliament/Funkadelic “Flashlight”(アルバム”Funkentelechy Vs. the Placebo Syndrome“収録)の有名なライブビデオを紹介します。高校時代にこの衝撃的なライブ映像を見て、人生のベクトルが30度位ズレた、かな(笑)。