日々のつれづれと、その日のお気に入りを紹介するマイクロブログ『Day By Day』を月別にまとめたページです。今回は2024年11月分を紹介。最新の投稿は https://www.tatsuyaoe.com/microblog/ にて。
2024年11月30日
散歩の時にダイソンの創業者ジェームズ・ダイソン『Invention』のオーディオブックを聴いている。20年ほど前に出版された『逆風野郎』を読んだことがあるので、サイクロン第一号が出来るまでの壮絶な道のりについては知っているが、現在も精力的な活動を行う本人が朗読する自伝を聴くのはまた格別の味わい。何か壁にぶち当たっても、5127台の試作品を作った彼に比べたらかすり傷だと思える。
James Dyson - Invention: A Life of Learning Through Failure
2024年11月29日
Perplexityは確かに優秀だし、このサービスのお陰で僕もこの半年検索エンジンを使う機会は格段に減った。ただ、日本語で使うと間違いや学習不足がものすごく多いし(それはネット上の日本語情報の偏りや限界を正直に反映しているのだけれど)、もっと優れたAIサービスが登場するのは時間の問題という気がする。それにしてもこのアルバムのグルーヴは奇跡的。ベースはマグマのヤニック・トップ。
Christian Gaubert - Sweet Maryline
2024年11月28日
バスケットや野球の世界で、踏ん張りどころで神がかりの力を発揮する才能を”Clutch Gene”と呼ぶことがある。Gene(遺伝子)という単語がついているが、科学的な根拠は全くない。信じられない位に素晴らしいプレーをする選手やとてつもなく強運な人を称賛する比喩としてはまあいいんじゃないのと思う一方で、誉め言葉に「神」を乱発する日本語の方にむしろ違和感がある(笑)。
LeBron James and myth of the clutch gene - ESPN
2024年11月27日
未完成、未発表の曲が沢山あって、それらを編集しなおすだけでもアルバム何枚分かは完成するのだけれど、この辺りで自分の作風に新しい刺激を入れてみたいと思う。そこで、長らくやっていない手法や今までやったことのないアプローチを色々と試行錯誤しているのだが、まだまだ糸口が見えない。調子の良い時にあえて「学習領域」に入ってみるという、この方法が功を奏するか…。
TED - エドアルド・ブリセーニョ: 自分にとって大切なことがもっと上達する方法
2024年11月26日
以前ルー・ロウルズの曲が入ったカセットテープを聴きながら受験会場に向かったと書いたが、ルーファス・トーマスのこの曲も持参したテープにチョイスしていた。当時チャート物やロックの話題をする友達はいても、ソウルやファンクの話が出来る仲間は少なかった(その後もいない、笑)。シェアや自己顕示が旺盛なネットの時代でも、自分のような「静かな、マイブーム型リスナー」は沢山いると思う。
RUFUS THOMAS - "Breakdown' & 'Funky Chicken' LIVE @ WATTSTAX 1973
2024年11月25日
Suchnessシリーズの第4弾『Seisei Ruten』のアルバム・メドレーをVideoのページにアップしました。夜空や宇宙をイメージした第3弾『Starry Messenger』からシフトして、この作品は禅的な自然空間や時間の流れをモチーフにしています。同じ音源をSoundCloudにも掲載したので、試聴後ぜひフルアルバムをお楽しみ下さい。
[Album Medley] OE – Seisei Ruten (Suchness 4)
2024年11月24日
『大衆の反逆』でオルテガが描く社会のありようが、今の社会と似ているとよく言われる。それを言ったら闘技場で騒ぐ古代ローマ帝国からSNSや選挙が荒れ狂う現代まで、全部似ていないはずがない。にんげんだもの。集団化すると人はこうなるという「人類の限界」、つまり社会心理学的な問題は、将来僕らが月に住めたとしてもなくならない。大事なのは、その上でニヒリズムや無気力に陥らず、どうひたむきに生きるか。
大衆の反逆(ちくま学芸文庫)
2024年11月23日
脳の「グリア細胞」について触れた日本語の本を読んだ。以前立花隆氏がこの細胞について言及していたので存在は知っていたけれど、それが脳で果たす役割についての評価が大きく変わってきているらしい。ただ、英語圏の一般向け科学書でこのトピックを扱ったものはまだ少なく、過大評価だと主張する論文もある。脳科学や医学に関する一般書は、専門家が書いた本であっても、話半分で読むべきかな。
エセ科学にだまされる人とだまされない人の違い | 日経BOOKプラス
2024年11月22日
谷川俊太郎さんの詩集はこれまでも何度か紹介したと思う。最近はこの『すき』という本が気に入って、仕事場の傍らに置いてよく眺めていた。非常に多作でキャリアの長い方なので、作風云々について語る資格はないが、谷川さんのとても音楽的で、反復を用いたリズミカルなセンスは唯一無二。「言葉を信用しないから書く」というスタンスにも好感を持っていた。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
谷川俊太郎詩集『すき』
2024年11月21日
ジオエンジニアリング(人為的な気候変動を起こす工学)から料理本の出版まで、元マイクロソフトCTOのネイサン・ミアボルドの頭の中は、それこそビル・ゲイツよりもぶっ飛んでいる。彼が設立した特許ファンドIntellectual Venturesは一時期パテント・トロールと言われて批判されたが、自腹も切らず国や大学の財源頼みで「知財を守れ!」などと言う連中よりは、はるかに地に足が着いていると思う。
A Technologist's Guide to the Future | Nathan Myhrvold
2024年11月20日
OE『Suchness』の第5弾アルバムが仕上がりました。発売は1月中旬を予定しています。今回はダウンテンポのビートを大幅に取り入れた作品となっていて、これまでの禅的世界観にグルーヴとストーリー性が加わりました。自分の中でも新しい発見があったので、この作品をきっかけに来年の創作の構想を膨らませていきたいと思っています。今日はSpotifyのAmbientプレイリストを紹介。
Soundscape & Ambient - playlist by Model Electronic Records | Spotify
2024年11月19日
ブルースマンのR.L. バーンサイドは、オルタナティブ・ロック世代のミュージシャンの後押しもあって、晩年その名前とサウンドが浸透した。当時は音以外の情報は数枚の写真しかなく、彼の演奏する姿やテレビ出演などの動画を見て、今更ながら驚いている。印象的だったのは、自宅前でのセッションを撮影したこの映像で弾いているギターが僕のお気に入りと同じ、サンバーストのテレキャスターだったこと。
RL Burnside - Live at home in 1990
2024年11月18日
先日新しく出来たCaptain Funkの公式アーティストチャンネルに『Sunshine (Deluxe Edition)』のメドレー動画をアップしました。ストリーミング時代に合わせて全て新たにミックスした楽曲を集めています。特に『Weekend』や『Piece of You』辺りはオリジナルよりもスッキリしてメリハリの効いた音になっているはず。メドレーを聴いて、是非登録&フルアルバムにアクセスしてみて下さい。
Captain Funk - Sunshine (Deluxe Edition) [Album Medley] - YouTube
2024年11月17日
その昔テレビ番組で「空耳アワー」という人気コーナーがあったけど、「メロディが似ている曲」というのは盗作などの憶測話にもつながるからか、意外と公の話題にはならないように思う。2008年オバマ勝利スピーチでも使われた映画『タイタンズを忘れない』のテーマ曲はトレヴァー・ラビンが作曲したものだが、これを聴くといつも『天才バカボン』を思い出す。でも彼は、絶対バカボンを知らないはず。
Remember The Titans - Trevor Rabin
2024年11月16日
最後の「五賢帝」マルクス・アウレリウスの時代までの「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」以降、ローマ帝国がどのように弱体化したのか?これは長らく関心がある話題。Dark Modelの制作で歴史や神話に触れる機会が増えたこともあるけれど、やはりアメリカの「パクス・アメリカーナ」の行方を意識せざるを得ないから。でも昨日書いたように、未来予測はしないことにしている。外れるから(笑)。
新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)
2024年11月15日
(2/2) と著書『The Deep Learning Revolution』で語るのは、ソーク研究所のテレンス・セイノフスキー氏。トーマス・ワトソンのコメントの真偽はさておき、人工知能の大家ですら未来を予測する事には慎重なようだ。過去にも未来にもとらわれず、今日、いや今を精一杯生きる。テクノロジーが進化すればするほど今という瞬間瞬間のありがたみが分かるようになるというのは不思議。
Terrence J. Sejnowski - The Deep Learning Revolution
2024年11月15日
(1/2) IBMの初代経営者トーマス・ワトソンが「コンピュータにはせいぜい5台分の市場しかないだろう」と言った言わないという冗談のような話はよく聞く。ただ、つい数十年前までコンピュータがただの計算機ではなくコミュニケーションの道具となることを想像していた人は少なかったし、インターネットが音楽やタクシーのビジネスのあり方すら大きく変えてしまうと予測した人はいなかったはず。
Thomas Watson Jr. - YouTube
2024年11月14日
柳宗悦、小泉文夫、そしてみうらじゅん。僕の中で日本の「名キュレーター」と言えばこの3人がまず浮かぶ。小泉文夫氏が遺した著作や録音物は今でも非常に意義深いと思うが、「日本人は西洋のリズムが持つ反復感に抵抗がある」という指摘に関しては、自分が16ビートの反復音楽に馴染み過ぎているせいでピンと来ない(笑)。この話はまたいずれ。
柳宗悦 - 民藝とは何か
2024年11月13日
アドビのソフトや技術に日々お世話になっている方は多いと思うが、創業者の一人ジョン・ワーノックについては不思議な位に知られていないように思う(昨年他界)。彼がIllustratorを開発する前は、デスクトップコンピューターでグラフィックデザインをやるという概念も需要も存在しなかったという。AIをはじめとする現在進行形の技術の数々も、社会に絶望ではなく希望をもたらすものであって欲しい。
John Warnock - Adobe's Founder - YouTube
2024年11月12日
Dark Modelの楽曲を中心に、モティベーショナルでアドレナリン全開の曲を集めたSpotifyプレイリストを作りました。動画はそのダイジェスト(メドレー)版です。ジムでエクササイズ中に聴くもよし、試験や本番の直前に聴いて闘志を燃やすもよし、不撓不屈の精神を貫く皆さんのお役に立てれば嬉しいです。
[Playlist] Don’t Give Up, Don’t Give In | ディスコグラフィ
2024年11月11日
「マイノリティ・インフルエンス(少数派が多数派に影響を与えること)」について調べていたら、映画『12人の怒れる男』が紹介されていたので、記憶を辿るために大学時代振りに見た。「あなたが他人を裁く時、あなたはその人ではなく自分自身を定義付けているのだ。」というある人の名言を思い出させる。
12 ANGRY MEN (1957) | Official Trailer | MGM - YouTube
2024年11月10日
Anderson .Paak や Kaytranadaなど、現在のR&B/Funk界にも才能豊かなアーティストは沢山いるけれど、リリックやラップにダーティー・ワードが出てくる頻度が多すぎて曲の最後まで聴けないことがある。ネイティブスピーカー達はその方が「より自然で、正直に聞こえる」というけど、別の正直な表現方法や言葉の使い方も残されているはずだと思ったりもする。故フランキー・ビヴァリーなら何と言うかな。
Frankie Beverly And Maze - Before I Let Go - YouTube
2024年11月9日
目下OE『Suchness』シリーズのニューアルバム用に曲を整理中。曲のタイトルをあれこれ考えていたら、昨今のインバウンドブームのお陰か、英語圏で日本の言葉、特に固有名詞が急速に浸透していることに驚かされた。”Nakasendo”(中山道)を紹介した動画がYouTubeに沢山アップされていてビックリ。最近の旅行者は、僕より遥かにニッチな場所や料理の旨いお店を知っていそうだ。
Walking the Historic Nakasendo Samurai Trail
2024年11月8日
世間で言うミニマリズムというのは結局のところマテリアリズム(物質主義)の一つのバリエーションでしかないように思う。ミニマリズムも焦点は「物があるかないか、多いか少ないか」であって、物質や消費を軸にして考えている点は変わらない。物や金銭の「持ちよう」の優劣やべき論に終始している限りは、「心の充足感や人生の生きがい」というもっと大事なことには近づけていないような気がする。今更だけど。
Minimalism: Spiritual Materialism in Disguise or: The New Religion of "Living with 100 things"
2024年11月7日
シリアスで斜に構えた作品を作るよりも、心が躍動し気持ちが前に向く作品を作る方が遥かに「人としてのパワー」が要る。悲観や恐怖、ニヒリズムを唱え、煽るのは簡単だし、それに染まるのはもっと簡単で、油断すると重力のように下に引っ張られていく。幸い、暗闇の中に光を見出して前進した人達は有史以来数えきれないほどいて、素晴らしい物語や詩、音楽、そしてグルーヴを残してくれている。
James Brown "Medley: Papa's Got A Brand New Bag & I Got You (I Feel Good)" on The Ed Sullivan Show
2024年11月6日
出演作が多すぎて、また質にバラツキがありすぎて、2010年以降のニコラス・ケイジの映画を全て追いかけるのは無理。ただ、ここ最近の出演作はしっかりした作りのものが増えてきて、シリアスなものもコメディものも「流石だな」と思わせてくれる。大笑いしたこの映画、本編を見てからこのトレイラーを見ると、彼が叫ぶFワードが”frickin’ (friggin’)”に差し変わってるのに気付く(笑)。
The Unbearable Weight of Massive Talent (2022 Movie) Official Trailer – Nicolas Cage
2024年11月5日
(2/2)このカタログを眺めていると、義務教育での各教科は、大人になってサバイブするためのきっかけを開く「森羅万象カタログ/ショーケース」だったのかも知れないとすら思えてくる。もちろん最大限に評価すればの話であって、小中学生の時はそんな崇高な事は考えない。日本の学校は知識やルールを教わることは出来ても、「なぜ学ぶのか」や「どうやって生き抜くか」を考えたり議論する機会は悲しい位に少ない。
Learning to Survive | Savage Kingdom | Nat Geo Wild - YouTube
2024年11月5日
(1/2)仕事の合間に『ホール・アース・カタログ』のアーカイブを見るのが楽しい。その後の日本の雑誌の編集スタイルにも大きく影響を与えたのは明らかだが、冒頭の「目的」のところに”power of the individual to conduct his own education…”とあるように、本家の方はDIY、すなわち「現実世界でのサバイバル(個人として生き抜く)のための道具や思想、情報のアクセス」に力点が置かれている。
Whole Earth Index
2024年11月4日
昔友人のミュージシャンが「アメリカは伝統芸能の国だからなあ(=テクノの様な新しい音楽は浸透しにくい)」と言っていた。ただ、テクノも既に形骸化・マンネリ化しつつあったので僕はそこから離れた音楽を創りたいと模索していたのだけれど、音楽を含めて表現の世界は「ブルースの様にフォーマット化してこそ真価を発揮し、次の進化を遂げる」性質があるとは思う。という事を以前も書いていた。
「ブルース化」は進化の証 - Japanese Blog -
2024年11月3日
Google Arts & Cultureというページがあるのを最近まで知らなかった。エジソンのストーリーについてはしばしば本や記事を通して触れているので、ここで新たに発見したことはあまりなかったのだけど、彼が発行した新聞『Weekly Herald』の実物写真は初めて見た。蓄音機や映写機の発明以上に、14歳でメディアを発行し、印刷・販売したという事実の方に彼の才覚が表れている気がする。
Thomas Edison newspaper, "The Weekly Herald," — Google Arts & Culture
2024年11月2日
12月6日発売のDark Model『Alternative Mixes』は、「Judgment Day」「Survivors」「Rage and Redemption」などお馴染みの曲を中心に、これまでにリリースした楽曲の様々な未発表バージョンを厳選して集めた編集盤です。足踏みとクラップでリズムを構成したゴスペル調のミックスや骨組みだけ残したミニマルなテクノ・エディットなど、意外性のある「裏ベスト盤」をお楽しみ下さい。
Dark Model『Alternative Mixes』が12月6日に発売されます
2024年11月1日
インストゥルメンタル(ヴォーカルなし)音楽の人気が衰退しているらしい。僕はインスト・歌物を分け隔てなく聴くし、作る曲もインストが多いので正直そう感じないのだけれど、大半のレーベルやアーティストは「歌を入れないと聴いてもらえないんじゃないか」という強迫観念が強いと思う。以前EDMと言われたものの殆どは、実質EPM(Electronic Pop Music)だったし。
Instrumental Music in Decline: Where Have Instrumentals Gone?