日々のつれづれと、その日のお気に入りを紹介するマイクロブログ『Day By Day』を月別にまとめたページです。今回は2024年5月分を紹介。最新の投稿は https://www.tatsuyaoe.com/microblog/ にて。
2024年5月31日
先日紹介したテッド・ジョイアは文章を書いている時間より、読書の時間の方が長いと言う。インプットの質と量を充実させなければ良いアウトプットは生まれないとの主張は理に適う。僕は30代までは音楽を聴くことに大量の時間を費やしたが、作曲や音楽制作にとって音楽だけがインプットの対象になるわけではない。今は音楽以外からインスパイアされる機会の方が多い。
Your output depends on your input
2024年5月30日
海外で、「日本は同調性や集団行動を強いる社会なのに、なぜ特定の分野ではクリエイティブな才能を輩出するのか?」という議論に遭遇することがある。現実社会での創造的活動、つまりチャレンジや問題提起、リスクテイキングへの期待値が低すぎるからこそ、現実逃避としての「空想(フィクション)の創作」に向かうのかも知れない。ただそれだけだと、現実は硬直したまま一向に変わらない。
How can extraordinary creativity and extreme conformity coexist in Japan? - Quora
2024年5月29日
OE名義の次の作品のミックスダウンが折り返し地点。(同じコンセプトで作った)昨年リリースの『Compositions in Blue』を聴き返してみると、自分が記憶していた以上にきちんと(笑)作り込まれていて、今作もさらにクオリティを詰めていかないといけないなと身が引き締まる。
OE - Circularity, Part 1 - YouTube
2024年5月28日
DAWからバーチャル・インストゥルメントまで、自分の音楽制作にコンピュータとアプリケーションは不可欠だが、それらが「道具」としての機能を超えて、「創作」の領域までズカズカと侵入しすぎることがある。人が手作業でやるからこそクリエイティブで面白いはずのパートを機械に任せてしまうことで、創作の楽しみや充実感まで消滅させないようにバランスを取るのが大事。
あらゆるサウンドからビートを無制限に生成する、Life by XLN Audio【日本語字幕】
2024年5月27日
大学に入った年の夏、ジャズギターを本気でやろうと(確か、笑)思って、バイトで稼いだ金でギブソンES-175を買った。いわゆる「フルアコ」と言われるボディが厚いギターで、それまで軽量なストラトキャスターばかり弾いていた僕にはハードルの高い楽器だった。その後、違うジャンルでプロになる機会に遭遇したことを考えると、時に「諦めも肝心」かも知れない。
Gibson ES-175 Guitar | Reverb Demo Video - YouTube
2024年5月26日
音楽史家/ピアニストのテッド・ジョイアがリック・ビアートに語った1時間半のインタビューは、世界中のどの音楽カンファレンスのディスカッションよりも正直で、冷静で、かつ共感できるものだった(AIの話題はほんの一部)。ジョージ・ソロスの「再帰性理論」を引き合いに出して文化トレンドの周期を分析する人に出会ったのは初めて。
Ted Gioia on AI's Threat To Music - YouTube
2024年5月25日
数年前に米南部のケイジャン料理を例に挙げて、「旅行先で食べた料理を自分で作ってみるのは楽しいが、外食をしなくなる」と書いたが、自分達では到底再現できない食事も沢山ある。カジュアルなところで、まずパンからして真似できないサブウェイは、アメリカでも日本でも本物を食べるのが一番。
サブウェイ 完全再現への道〜注文方法も解説〜 - YouTube
2024年5月24日
コンテンポラリーアートの中でも、屋外の広大な土地を使った「ランド・アート」は、自然と対峙する人間の大胆さと、天候によって作品が一瞬のうちに風化するはかなさを併せ持った、ミステリアスで思慮に富む表現手法だと思う。ランド・アーティスト、ジム・デネヴァンが砂浜に正確な円弧を耕すように描いていくその姿自体が、ミステリアスすぎて開いた口が塞がらない。
Lines in the Sand: When The Beach Becomes a Canvas - YouTube
2024年5月23日
以前は「プラットフォーム」について書かれたHBRやMITの記事をよく読んだ。この『Platform Scale』(2015)という本を読み返すと、かつてトップを走っていた各ビッグテック企業の栄華と限界をおさらいできる。僕自身は、隙あらばクリエイターを「小作人」にしてしまう彼らの巧妙な仕掛けと誘惑からは距離を置いて、自分で作った「農園」を耕し育てるという、原点に戻っている。
Platform Scale by Sangeet Paul Choudary | Amazon.co.jp
2024年5月22日
故アンドリュー・グローヴの半生記『Swimming Across』を先日読み終えた。動乱にあえぐハンガリーを脱出し、難民から渡米生活を始めたユダヤ人の彼と自分を重ねることは極めておこがましいけれど、自分の武器になり得るもの(彼の場合は化学工学)を「タフ」に磨けば、アメリカで希望を見出すことは可能という本質的な部分は、今も残されていると思う。
Silicon Valley Mourns Andy Grove, a Titan of Tech - YouTube
2024年5月21日
新しいアルバムの曲が揃ったので、これからミックスダウンに進みます。曲の着想から作曲、アレンジまでのプロセスが一番楽しくて、それ以降のミックスダウンからマスタリングの作業は毎回難儀する。一番時間がかかるのはDark Model名義の制作で、『Saga』の時はミックスダウンだけで数か月格闘した。今作は10日をめどにスピーディーに終わらせたいところ。
Dark Model - Storm Goddess (Dramatic Orchestral/Electronic Dance Music/Breakbeat) - YouTube
2024年5月20日
日本の再生エネルギー導入率が低いのは知っているけど、それ以前にエネルギー自給率が致命的に低い事の方が気になる。先日オランダの洋上風力発電プロジェクトのドキュメンタリーを見ていて、そのスピード感と推進力、つまり「将来への危機感」の違いをとても悔しく感じた。危機感は「希望」に転化できるものだと思っているし、逆に危機感がなければ希望も生まれない。
Borssele III and IV offshore wind farm, The Netherlands - YouTube
2024年5月19日
Findingsの「今週の人気投稿」にランクインしていた記事を読み返してみた。これを書いた9年前に比べて今は遥かに沢山の事を吸収したけれど、考え方の根幹は殆ど変わっていない。自分の頭で知恵を絞り、身銭を切って音楽ビジネスやキャリアの生態系を育てることに興味のある方々の参考になれば幸いです。
音楽ビジネスでのキャリアの作り方とエコシステム(生態系)- Japanese Blog -
2024年5月18日
アルトゥール・ヴェロカイの『Encore』や『No Voo do Urubu』等の作品は今も愛聴盤だが、この人については「ブラジルの優秀なアレンジャー/アーティスト」程度の知識しかなかった。’72年のデビュー以降30年間鳴りを潜めた後に「発掘」された人だったというエピソードに驚く一方で、全く日の目を見ずにこの世を去った優秀な作曲家が星の数ほどいるのも事実。
Arthur Verocai - Encore (Full Album Stream) - YouTube
2024年5月17日
普段作曲ないし制作をする際に、一つの曲だけに何日も執着することは殆どないのだけど、たまに「もう数日間粘ってみたらどこかでブレークスルーがあるかも」と思って取り組むことがある。新しいアルバムに1曲追加したくて最後に作った曲がそのケースだった。結局、曲の展開と楽器の編成を半分に圧縮したら問題が一気に解決したという、”Less is More”な話。
Less is Moreとは | IDEAS FOR GOOD
2024年5月16日
寝不足や天候不順で何となく体が重い時に使ってみようと思って、自律神経のバランスを測定できるアプリをダウンロードしてみた。一般的に、調子が優れない時は20や30位のスコアが出るらしいのだが、僕は何度測っても100とか95で、「パーフェクト!」という結果になる。自分はそんなにリラックスしてるのかーと安心してたら突然0点が出て、アプリに動揺させられた(笑)。
「CARTE - 自律神経をスマホで測れる!」をApp Storeで
2024年5月15日
不自然な日本語やコミュニケーションが増えた気がする。至る所に注意書きが貼られているのも圧迫感があるし、命に関わるわけでもないことについて、大の大人に「絶対に〇〇しないで下さい」と「絶対」を多用するのは、度が過ぎて奇妙。逆に「トイレをきれいに使って頂き、ありがとうございます」とへりくだるのは更に不自然。行動心理学の本を鵜吞みにし過ぎでは?
The Human League - Human - YouTube
2024年5月14日
先日「怒鳴る」シーンが多い映画は苦手という話を書いたが、暴力的だったり登場人物が陰湿だったりの、楽しくないドラマは邦画洋画問わず見なくなった。現実世界がろくでもない(笑)のに、仕事の合間に見るフィクションでわざわざ不愉快になる必要は全くない。というわけで、Mr.ビーンことアトキンソン氏の「ジョニー・イングリッシュ」で大笑い。
Tibet Training | Funny Clip | Johnny English Reborn | Mr Bean Official - YouTube
2024年5月13日
僕がMacのコンピュータを使うのはもはや年に数回だから、最近のiPadのCM騒ぎについて特に関心はないけど、テックやAIに関わる企業は、『1984』の「ビッグブラザー」側になりたいという下心が少なからずあるように思う。「自由」や「解放」、そして「創造性」は単なる方便であって、本当に欲しいのは「力」ではないのか?という、ユーザー側からの「監視」が更に重要になるだろう。
Appleの『1984』から40年、巨大テックの支配は今も続いている | ギズモード
2024年5月12日
「インヴァース・パラノイド」という言葉をご存知だろうか?パラノイド(被害妄想)の逆、ということだから「世間の出来事は全て自分にとって良い事をもたらし、自分を成長させてくれるチャンスだ」と考えること。クラクラするほどの超絶ポジティブシンキングではあるけど、何事も悪い方に解釈しがちな「勿体ない」人は、覚えていて損しない言葉だと思う。
Are you an inverse paranoid?
2024年5月11日
BBC「トップ・ギア」で知られたジェレミー・クラークソンが農業に挑戦するリアリティ・ショー『Clarkson’s Farm』が面白すぎて、一気に最新エピソードまで見てしまった。ただ、農業と自営業の素人の彼を襲う困難、失敗、不運が多すぎて、「ギャンブルの負けをギャンブルで取り返す」悪循環に陥っているのが見ていて切ない。何事もスモールスタートと引き際が肝心。
Clarkson's Farm | Official Trailer | Prime Video
2024年5月10日
OE『Early Techno Works 9697』は、音楽制作を本格的に始めた’96年から、翌年のACV(イタリア)でのデビュー前後に作曲したテクノ、ハウストラックをセレクト&再構築したものです。帰宅後毎晩遅くまで無我夢中で創っていた、と言ってはみたが、ジャンルがジャンルなだけに汗臭さは全くなく(笑)、でもフレッシュなアルバムに仕上がっていると思います。
OE『Early Techno Works 9697』2024年6月7日リリース
2024年5月9日
一定のコンセプトの下でアルバムを作っていると、似た感じの曲が幾つか出来てしまう事がある。コンセプトを守り、ストーリーを構成しながら、似た曲は排除して絞り込む。すると、「足りない曲」が自然と浮かび上がってくる。と書いていて「オズボーンのチェックリスト」を思い出したが、大事なのはアイデアではなく、「実行」と「ゲーム終了にならない失敗」を積み重ねること。
オズボーンのチェックリストとは? | Battery
2024年5月8日
化粧品ブランド、エスティー・ローダーのプロモーション映像で、僕のMER名義の曲がライセンス使用されています。韓国の人気歌手IU(アイユー)をフィーチャーした映像と音をお楽しみ下さい。この曲を収録したリリースのアイデアを考えてみます。
: Estee Lauder x IU Facebook
2024年5月7日
オンライン辞書で”irate”(激怒した)を調べていたら、例文に「彼は激怒した店主に対して、睾丸を見せつけてゾッとさせた(ワシントン・ポストの記事より)」とあったので、名門紙がなぜこんなクレイジーな事件を?と思ったら、ラリー・デイヴィッドの人気コメディ番組「Curb Your Enthusiasm」の解説だった。でもクレイジーなことには変わりない(笑)。
Curb Your Enthusiasm - Neighbor shows up with estimate - YouTube
2024年5月6日
ワーナー・ブラザース設立者の一人、ジャック・ワーナー曰く、「映画はファンタジーだ。そしてファンタジーには音楽が欠かせない」。確かに、現実離れした映画ほど音楽に頼る部分が多く、また音楽を「詰め込み」やすい。この鉄則を実践した作曲家にマックス・スタイナーやコルンゴルドがいるが、最大の功労者はやはりジョン・ウィリアムスだろう。読み応えあり。
John Williams's Film Music | Amazon.co.jp
2024年5月5日
「他人にどう思われているか」を気にする日本人はとても多いが、「他国にどう思われているか」に関しては無頓着だったり、むしろ「放っとけよ」と感情的になるケースが目立つ。”グローバル”なエリート意識も、逆に”日本すごい”的な選民意識も結構だが、少なくとも、知らぬ間に他国の人を失望させたり傷つけたりする事への敏感さや配慮は欲しい。
外資・グローバル転職で役立つ英語表現(4)- Xenophobia (外国人恐怖症)
2024年5月4日
創作に関して詩人キーツが手紙でひっそり書いた「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉が最近拡大解釈されているようだ。彼の言う「能力」は「疑う力」、すなわち「性急な判断や確証バイアスによる断定を避けて、思考や創作に”幅”を持たせる柔軟性や慎重さ」であって、判断や行動を「時間的に先延ばしする」「迷う」といったモラトリアム的なニュアンスは本来無いと思う。
Negative capability | Poetry Foundation
2024年5月3日
英国の詩人ワーズワースの有名な詩の一節に、”The Child is father of the Man”という、逆説的な表現が出てくる。子供は大人の父親(原型)、つまり子供の時に抱いた感動や心躍る気持ちがその後の自分を形作る、という意味だと思う。彼にとっては虹から受けた感動がそれにあたる一方で、僕にとっては海だったり音楽だったりする。
‘The Child Is Father of the Man’: William Wordsworth’s ‘My heart leaps up’
2024年5月2日
現在新作(Captain Funk 『Heavy Metal Deluxe』の2つ先のアルバム)に取り掛かっていて、5月中完成を目指しています。内容は昨年リリースしたOE『Compositions in Blue』の続編のようなものを想定しています。6/7(金)リリース予定の次の新作についても間もなく告知をするので、お楽しみにしていて下さい。
OE – Compositions in Blue | ディスコグラフィ
2024年5月1日
つい一昔前はタイムワーナーなどのケーブルTVを経由してリアルタイムにテレビ番組を見ていたのに、いつのまにか大型ディスプレイが家から消滅し、AmazonやNetflix等のオンデマンド・サービスをパソコンやスマホで見ることに違和感を感じなくなっている。視聴の仕方は大きく変化しても、様々な国で自分の曲をチョイスしてくれる方々がいるのは有難い限り。
テレビ番組での楽曲使用実績(主に北米)- 2024年第1四半期 -