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「New Classics Vol.1 & 2」の「アルバム・サンプラー」を公開しました
今回は4月20日発売のOE(オー・イー)「New Classics Vol.1 & 2」のお知らせを中心にお届けします。まだ発売までは1か月半あるのですが、皆さんには早く音の感触をつかんで頂きたいと思ったので、早めに全36曲の試聴を開始することにしました。それぞれの曲のハイライトを集めた「アルバム・サンプラー」をYoutubeのModel Electronicチャンネルにアップ(限定公開)したので、楽しんで頂けたら嬉しいです。
聴いて頂ければお分かりのように、同じOE名義でありながら、Vol.1とVol.2はかなり対照的な内容になっています。Vol.1はヴォーカルやギターをフィーチャーしたインディ・ロック/ポップ的なエレクトロニカを中心に収録、Vol.2はエッジの立った、よりエレクトロニック色の強い楽曲や、実験的な要素を持ったコンテンポラリー作品を収録しています。
以前の投稿で書きましたが、このリリースの準備に取り掛かった当初はアルバム2枚を一度に制作し、発表する予定はありませんでした。しかし作業を進めているうちに、このプロジェクトが持つ様々な側面を1枚にまとめることで、今この名義で作品を発表する意義や、作品そのものの持つ「勢い」や「密度」が失われるのは避けたいと感じるようになったのです。それ以前に制作した楽曲に再び息を吹き込むにせよ、あるいは新しい曲をOEとして作るにせよ、この5年ほど力を入れてきたDark Modelでの経験やアメリカでの生活で得られた所感を踏まえた、「Dark Model以降」の自分の視点をはっきりと作品のコンセプトに刻み込んでおくべきだと考えました。もちろん、聴いて頂く皆さんにそれを感じてもらう必要はなく、純粋に音楽として楽しんで頂ければ十分です。
CDリリースとプレスのお話
この二つのアルバムは配信だけでなくCDでもリリースされます(日本では輸入盤)。先日プレスしたCDが届いたので早速写真を掲載しておきますね。これまでModel ElectronicでのCDリリースは紙のカバー付きのジュエル(プラスティック)ケースかデジパックだったのですが、今回は初めて紙ジャケット(CDジャケット)を採用しました。ここアメリカでの手荒な郵便配達事情を見ていると、ジュエル・ケースは破損の危険性が大きすぎて(「絶対に」と言って良いほど割れます、というか割ります)採用できません。ちなみに、日本では事情が異なるかも知れませんが、アメリカに関して言えば、製造コストはジュエルが圧倒的に安く、デジパックや紙ジャケは割高です。厚みが少なく紙なので、プラスティックのケースより安上がりでラッキー、なんてことは全然ないのです(笑)。
アルバムを購入できるショップのリンクなどは、TopicsやAlbumのページで随時紹介していきますので、それらのページに時折立ち寄るか、Topicsをメールで購読して下さると嬉しいです。何はともあれ、発売まで上記のアルバム・サンプラーをお楽しみ下さい。
Dark Model 「Labyrinth」解説とレビュー紹介
さて次は、Dark Modelの話題です。アルバム「Saga」から、先日のFindings投稿以降にYoutubeに「Labyrinth」と「Elegy1」をアップしました。今日は「Labyrinth」の解説を少しだけ。
アルバム「Saga」に収録されている他の楽曲と異なり、この「ラビリンス」にはエレクトロニックな要素が殆どありません。この曲を出来るだけオーガニックで、ライブ感のあるものに仕上げたかったからです。Dark Modelの音楽を作る時、僕は1曲の中でオーケストラ・サウンドとエレクトロニックなサウンドを使用する比率に注意しています。Dark Modelの音楽が何か他のオーケストラ楽曲の「リミックス」のように(不自然に)聞こえるという事態は是が非でも避けたいのです。
どちらの要素が先に来ることも後に来ることもなく、同時進行で各要素を組み込んでいくことではじめて曲が出来上がる、そういう制作の上での心がけをきちんと音に反映させておきたい。そう考えています。そういう点では、この「ラビリンス」にエレクトロニックな要素を組み込まなくてはならない理由や動機はありませんでした。この曲の純粋さが、「Saga」でのストーリー全体をより引き立たせることに貢献していればいいなと思っています。
下記にこの曲を説明した幾つかのレビューの翻訳を紹介します。
「例えば『Survivors』は80年代の音楽的な要素にインスパイアされた躍動感のある曲だが、『Labyrinth』はエレクトロニックな構成要素が全くないために、より厳粛なシチュエーションに相応しい曲だと言える。しかしながら、壮大であることには変わりない。」
「『Labyrinth』は繊細で、オーケストラがステージ上で生演奏しているかのようなサウンドをしており、希望と絶望をないまぜにしたピアノのメロディに心を揺さぶられる。」
「『Labyrinth』は差し迫った危機から一歩引いて、我々の主人公は再び旅路に戻り、息を吹き返す。そのオーケストレーションは、ハワード・ショアの冒険的な『ロード・オブ・ザ・リング』のスコアとダニー・エルフマンの風変わりで幻想的なスコアの間を行く感じだ。」
というレビューを紹介しておいて変な話ですが、Dark Modelの音楽のレビューではよく引き合いに出される『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ、僕はテレビやトレイラーで幾つかのシーンに触れたことがある以外に、通して見たことがないのです(笑)。音楽もきちんと聴いたことがありません。Dark Modelに限らず、僕は自分の創作の参考として、巷で話題になった映画や音楽に触れることはしないように心がけています。もちろん、『ロード・オブ・ザ・リング』が名作だということは知っているんですけどね。