日本の皆さんはもうゴールデンウィークに入ったのではないかと思います。アメリカは年の後半から年末にかけて感謝祭やクリスマス前後に連休を取る人が多いですが、それも個人や会社、宗教によって違いがあるので、国民的大型連休の様なものは存在しません。公的機関から関係者まで一斉に連絡が取れなくなることがないという点では個人的にはその方が助かりますが、皆バラバラにバケーションを取るので、予測しない時期に音信が途絶えるということはしばしばあります。ただ、これは意外かも知れませんが、アメリカ人の方が概ね労働日数・時間は多いのではないかと思います。
アルバム制作の方はほぼ順調に進んでいます。Dark Modelの楽曲は仕上げに時間がかかることが多いので、コンプリートまでにはまだ相当かかりますが、発表できる楽曲は今後折を見て紹介していきます。Dark Modelのメーリングリストに登録されている方には一般よりも早く情報をお伝えすることもあるかと思うので、是非この機会に登録してみて下さい。
さて、先日ノミネートされたことをお伝えしたインディペンデント・ミュージック・アワードのウェブサイトに、Dark Modelのインタビュー(Q&A)が掲載されました。アルバムに関することから将来の音楽ビジネスの話題まで質問が多岐に渡り、結果的には中身の濃いインタビューになっているのではないかと思います。投票の方もよろしくお願いします。
Dark Model (Tatsuya Oe) Interview/Q&A https://www.independentmusicawards.com/ima/dark-model
今回から数回に渡って、このインタビューの日本語訳を掲載していきます。自分で英語で答えたものを日本語に翻訳するのは少し変な気分ですが(笑)、楽しんでもらえると嬉しいです。
Dark Model インタビュー 第二部
Dark Model インタビュー 第三部
Q: 影響を受けた人は?
A: ここで名前を挙げるのは抵抗がありますが、様々な西洋と東洋の音楽の伝統の中であらゆるジャンルの垣根を越えて挑んできた、多くの「ゲーム・チェンジャー」「リスクテイカー」達です。
Q: ノミネートされた作品を説明して下さい。
A: この作品は、エピック、エモーショナルで、エッジーなビート志向のオーケストラ・エレクトロニック・ミュージックに焦点を当てた、Dark Modelとしての最初のフルアルバムです。Dark Modelは私の最新プロジェクトですが、私はまたCaptain Funkという名義も持ち、20年近くに渡ってエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーとして活動してきました。Dark Modelの基本的なコンセプトは、これまでのキャリアを通じて培った多岐に渡る音楽的なアイデアや要素を組み合わせて、壮大な「音楽の物語(インストゥルメンタル・ナラティブ)」を作ることです。
Dark Modelの音楽は、テーマ性のあるサウンドという点で映画のサウンドトラックなどと共通点が感じられるかも知れませんが、このアルバムでのプライオリティは、それ単体で成立しうる、独立した音楽を作ることであって、特定の映画や予告編、広告映像その他のメディアに従属する(=特定の映像に合わせた)音楽を作ることではありません。、
Q: この作品のレコーディングで何か変わったエフェクトや楽器を使いましたか?
私は常にエレクトロニック・ミュージックの垣根を超えるために楽器や音響的なエフェクトを使う新しい方法を模索しています。このアルバムは多くのオーケストラ楽器や電子楽器、サウンド・エフェクト、グリッチ音などをフィーチャーしていますが、制作にあたって留意したのは、この音楽がオーケストラ音楽の単なるトラディショナルな(=よくある)リミックスや二次・派生作品の様に聞こえないようにすること。また一から作曲をし、それぞれの音楽的な要素(それがエレクトロニックなものであれ、オーケストラ的なものであれ)を均等に扱って音を配置するように心がけることです。
変わった楽器と言えば、「Prayer for the New Moon」では日本の伝統的な楽器である尺八を、「Moment of Truth」ではドラムライン(マーチング・ドラム)のサウンドを使いました。「Prayer for the Moon」「Candle in the Desert」では、予測不能なドローンサウンドを作るために、グラニュラー・シンセシスというテクニックを使っています。
Q: スタジオで何かハッピーなアクシデントはありましたか?それとも全て計画通りに進みましたか?
A: このアルバムを制作している最中、2013年の9月に東京からニューヨークに移住をしたので、それまで何年の間も大事にしていた、ビンテージ・シンセからギター、ベース、アウトボード類などの多くの楽器を手放さなくてはなりませんでした。新しい環境でアルバム制作を続行するのは最初は大変でしたが、制作環境をダウンサイジングして変えたことで結果的に自分の頭の中がクリアになり、よりソリッドなプロダクションに集中することが出来たと思います。文字通り「レス・イズ・モア(少なければ少ない方が良い」という話です。