Tatsuya’s daily notes with his favorites of the day.
For the older posts, please check his Japanese blog called “Findings.”
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今でこそ「必要ない情報を排除していかに目の前の活動に集中できるか」、つまり「ゾーンに入る」ことが大事だと考えているが、若い頃は「瞬時に沢山の情報を処理し、状況判断ができること」が優秀さだと思っていた。入力する情報や判断を減らすことは「強み」になる。無知とシンプルは別物だけれど、知性がシンプルに考えることを妨げるのだとしたらそれは「弱み」でしかない。競争や多様性を問われる世界では、ハイコンテクストな「複雑さ」は足かせになる。

今でこそ「必要ない情報を排除していかに目の前の活動に集中できるか」、つまり「ゾーンに入る」ことが大事だと考えているが、若い頃は「瞬時に沢山の情報を処理し、状況判断ができること」が優秀さだと思っていた。入力する情報や判断を減らすことは「強み」になる。無知とシンプルは別物だけれど、知性がシンプルに考えることを妨げるのだとしたらそれは「弱み」でしかない。競争や多様性を問われる世界では、ハイコンテクストな「複雑さ」は足かせになる。

Guardianで傑作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の凄まじく的外れな評論に対してコメントが沢山寄せられていたのだが、それらがとても的確で感心した。「カンフー&マルチバース!」みたいな触れ込みで見てしまうと、移民・離散体験と縁のない人には全然ピンと来ない、単なるドタバタ映画に見えるだろう。アジア人がアメリカで移民として生きていくこと自体が、目の前の現実を疑いたくなる位に混乱の連続で、既にマルチバース的なのです。

英語のポッドキャストを聴いていて、テキストで内容を確認したい時に文字起こしが必要になることがある。Adobe Premiere Proに「自動文字起こし機能」があると知って早速試してみたら、驚くほど正確にテキスト化してくれた。発音のリダクションが多いアメリカ人英語のリスニングにはある程度慣れているが、南部出身の人が「インセネフィ」と連呼するのが聞き取れなくて困ってたら、なんと”incentive fee”(インセンティブ・フィー)だった。

ふと興味が湧いてサイバーセキュリティの本を何冊か読んでいる。「フールプルーフ」というのは言わば「ポカ防止」、つまり誰かがミスをしても致命的な状態に進展しないような仕組みを設計すること。ただ、ヒューマンエラーというのは人間の想像を超えたとんでもない角度やレベルで起こる。ということを僕も少し前に思い知らされたが、最近のホワイトハウスは「フールプルーフ」ではなく「プルーフ・オブ・フールズ(愚か者達の証し)」と化してきた。

社会や組織のルールに従わないと制裁を受けたり反発にあうが、自分で作ったルールに関しては、それに従わなくても誰も困らないしすぐに何か悪いことが起こったりもしない。その分、自分の「鉄則」や「システム」を作り、それらに忠実でいるというのは訓練が要るし、実現が難しい。鉄則の作り方は学校では教えてくれないし、むしろ学校や社会はそんなものを各々に作られると困ると思っているかも知れない。なんて書いてたら、ふとこの曲がよぎった。

ダニエル・カーニマンの研究成果を礼賛し、話題にする人は日本にも多い。僕は人間の行動心理のパターンをさも誰にでも当てはまるかのように「〇〇理論」と名付け、知識として「お勉強」する風潮は、全然科学的ではない行為だと思っている。まず実験の再現性が低いことに加え、アメリカ人を被験者にした実験が日本人にもあてはまるかの検証を誰もしていない。こういう確証性の低い”理論”を「マーケティングの道具」として得意気に説くのは小賢しく、罪深い。

Findingsのランキングに時折懐かしい投稿がランクインしてくる。今から20年近く前の2006年に「1982年はエレクトロニック・ファンク豊作の年」だと書いた投稿が昨日5位に入っていた。自分で書いたのも忘れていたけど、確かに1982年はファンクだけでなく様々なジャンルから良い音楽が沢山生まれた年だった。僕はまだ中学生だったが、あの頃こういう音楽を聴いて踊っていた日本の大人達は今どうしているのだろう。

アルバム2枚分26曲のミックスダウンが終わりました。収録曲が2曲増えたので予定よりも数日延びましたが、かなり順調に作業出来たと思います。自分ための作品作りを最優先に取り組み、この10年で40枚近くのアルバムをModel Electronicからリリースしました。人生をさらに実りあるものにするために、今後は制作を続けつつ音楽以外の分野の勉強にも力を注ぎたいと思っています。

コンピューターやPro Toolsがロックをダメにしたという意見は昔からある。2000年前後、知り合いのアーティストがProToolsで仕上げた音源をマスタリングスタジオに持ち込んだら、ベテランのエンジニアが「何だ、Pro Toolsか」と音も聴かずに嫌悪感を示したというエピソードを思い出す。僕の場合、コンピューターやPro Toolsがなかったら現在の自分は100%存在しない。新しい技術は難癖をつけるよりも、付き合い方、使い方を考える方が得策。

昨日Googleが4.8兆円で買収を決めたスタートアップWizは、イスラエル国防軍の諜報部隊「ユニット8200」のOBが作ったサイバーセキュリティ会社。スタートアップといっても彼等は以前アダロムというテック会社をマイクロソフトにも売却した強者。地政学リスクが高まる中でイスラエル周辺の動きがますます重要かつ脅威となってきたことは明らかだが、国防、政治、経済、技術の各分野で国と企業の利害関係がスパゲッティのようにこんがらがってる。

日本にはエンターテインメントや娯楽はあるが、軍事力はさておき、資源、エネルギー、食糧、そして将来を担う人材が絶望的に足りない。日本国籍を持ち、長らくエンターテインメントの周縁にいる自分が、そんなことを考える頻度が増えた。僕らは人や国としての死活問題そっちのけで娯楽やカルチャーを謳歌しすぎていたのだろうか。皮肉なことに、僕らが多くを学び吸収してきた海外諸国は、そういった問題にもぬかりなく取り組んでいたのだった。

数多くの賞を獲得した映画『ブルータリスト』の監督は、実は1ドルもギャラをもらっていないという。これは周知の事実だが、スーパーボウルの出演料がゼロな事もよく話題に上る。僕はパスだけど、かつてはアーティストが売名や将来の大きなチャンスを期待して「プロモーション」という名の下に無償で仕事を引き受けるのは半ば常識だった。問題なのは、その見返り(ビジネスモデル)が消滅しつつあるのに、自らタダ働きを選択し続けていること。

僕は人に比べて内耳が敏感らしく、聴覚過敏気味なのはまだ許容できるものの、気圧の変化に弱い。雨の多い多湿な季節や東南アジアのような温暖湿潤な気候、高山や高層マンションの様な海抜の高い場所では、この特性がマイナスに働くような気がする(検査はしていない)。気候的には西海岸やハワイが理想的だけど、米国で運転要らずのエリアは当然賑やかで騒音の問題が深刻。図太く生きてるつもりが、耳が繊細さんだった。

新曲24曲を並べて時間を測ったら75分前後に達したので、やはり2枚のアルバムに分けることに。ミックスダウンも佳境に差し掛かり、来週半ばには全てのマスターが仕上がる予定。名義はMERで、リリースはGW後と夏辺りを考えています。前作の『Cyber City Connection』は80年代中盤から90年代のエレクトロニックミュージックをイメージしたのに対し、今回は’78年から’82年頃(狭い)の雰囲気が詰まったファンク作品集になりそう。

ビバリーヒルズのロデオ・ドライブはまばゆいばかりの高級ブティックが立ち並ぶ街として有名だけど、ギャラリーも結構あって、一つ隣の通りにガゴシアン・ギャラリーがある。美術館とは違い、ギャラリーは作品を買う気がなくても、また買う財力がなくても、気軽にコンテンポラリー・アートを楽しめるのが魅力。ここで行われたキム・ゴードンのユニットBody/Headによるギターノイズ・パフォーマンスを見て、何かとても懐かしい気分に。

小学生の時最初に買ったアルバムはビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』だった。彼は絶頂期を過ぎた頃、義理の弟でもあったマネージャーによる莫大な金額の詐欺に遭い、損害賠償訴訟を起こす。その後ライブ活動こそ再開したが、精神的な疲弊が尾を引き、独力による新曲が殆どない。マネジメントや管理という仕事はさも「らしく」聞こえるが、リスクを負わずして手数料で食う仲介業者が、本人の動機や愛着を超えることは絶対にない。
