マイクロブログ・アーカイブズ 2024年11月
シリアスで斜に構えた作品を作るよりも、心が躍動し気持ちが前に向く作品を作る方が遥かに「人としてのパワー」が要る。悲観や恐怖、ニヒリズムを唱え、煽るのは簡単だし、それに染まるのはもっと簡単で、油断すると重力のように下に引っ張られていく。
シリアスで斜に構えた作品を作るよりも、心が躍動し気持ちが前に向く作品を作る方が遥かに「人としてのパワー」が要る。悲観や恐怖、ニヒリズムを唱え、煽るのは簡単だし、それに染まるのはもっと簡単で、油断すると重力のように下に引っ張られていく。
「考えること」の大事さは誰もが理解しているが、「考えないこと」=無心になることの大事さは意外と理解されていない。マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントのトレーナーと、禅僧のティク・ナット・ハン。すなわち熾烈な競争を勝ち抜く達人と、心の平穏(マインドフルネス)を説く達人。彼らの心構えが「Don’t Think」という共通項で繋がるのは興味深い。
「Numbers Game(数のゲーム)」と「Waiting Game(待ちのゲーム)」について。アクションの数を増やしながら学習をすること、時間の差や流れを戦略的に活用すること。この2つのゲームをバランスよく掛け合わせて、人生を実りあるものにしていきましょう。
一人の人間には2つの「セルフ」がいる。セルフ1は「うまくやれ」「失敗したらどうする?」「恥ずかしい」などと、セルフ2に余計な口出しをし、世話を焼く。この雑念から解放されて、セルフ2が無心で事に取り組めたら万事が上手く行く。僕の場合、曲作りとウォーキングの時はセルフ1が殆ど登場しない。
セネカは「人は財産を奪われると激怒するのに、(労働や他人の怠慢で)自分の時間を奪われることに対しては恐ろしく鈍感だ」というような事を説いた。2000年経った今も、金銭や名声への執着や憧れはあっても、時間を有意義に使った人や、自分のための時間を確保できた人のストーリーに着目する機会は殆どない。
電子書籍よりも本を買って読む機会が増えている。長らくオンライン/デジタル生活でモノを減らすことに意識が向いていたけれど、最近はオフラインの時間を出来るだけ増やしたいという気持ちが強くなった。サーチエンジンも極力使わない。仕事上のやり取りに関しては引き続きテクノロジーを活用しつつも、創作や発想、娯楽に関しては「レス・デジタル」な方向で考えてみたい。
ニュースのコメント欄やSNSなどでは、世間の出来事を全部自分事として捉える風潮があるけれど、自分と直接関係のないことに逐一反応していると、本当に大事な判断を正確に行うための落ち着きとエネルギーを使い果たしてしまう。過度の「内面化(internalization)」をやめて、必要以上に当事者意識を持たないように努めることはストレスフリーへの第一歩。
英国の詩人ワーズワースの有名な詩の一節に、”The Child is father of the Man”という、逆説的な表現が出てくる。子供は大人の父親(原型)、つまり子供の時に抱いた感動や心躍る気持ちがその後の自分を形作る、という意味だと思う。彼にとっては虹から受けた感動がそれにあたる一方で、僕にとっては海だったり音楽だったりする。
超多作な作家で知られたアイザック・アシモフは、「なぜ時間を過去に設定した本を書かないのか?」と聞かれて、「過去を書くには下調べが必要になる。自分で捏造できる未来と自分が既に知っている現在に絞って書いた方が生産的だよ。」と答えたとか。アウトプットで飯を食う自分にとっては示唆に富む話だけど、彼の場合「既に知っている事」が膨大だった。
漆黒、つまり漆で塗った光沢のある黒には独特の粋と品がある。僕は茶道には縁がないけれど、漆黒の茶器、特に抹茶を入れておく漆黒の棗(なつめ)は仕事場に飾っておくだけでも背筋が伸びて気持ちが引き締まりそうだ。先日、江戸時代初期に活躍した名工である関宗長が作った大棗をオークションで発見したが、以前楽器の薩摩琵琶が欲しくて物色していた時と同じで、相場がさっぱり分からない(笑)。
黒漆大棗 銘 来道人 文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/518859「成功体験を忘れろ」というフレーズをしばしば耳にするが、大事なのは「自分は何で成功したのか」、つまり何が上手く行って、何が上手く行かなかったのかを冷静に分析しておくことだと思う。そこを軽んじると人間は「自分は全てが分かっていて、何をやっても成功する」と過信して歯車が狂い出す。技術やアイデアで成功した人がコミュニケーションや人たらしの世界で成功するのは大抵は難しく、その逆も然り。
Elon Musk's gesture at Trump rally draws scrutiny – BBC https://www.bbc.com/news/videos/cpdxzjw9p47o新作『Moment of Now (Suchness 5)』ではこれまでのSuchnessの時間感覚や浮遊感に「時間を止める」という要素を取り込んでアイデアを練った。記憶に頼らず、感情も引き出さないでひたすら「今、目の前にあるもの」だけに意識を集中させる。それが習慣的にできるようになったら収穫は大きいと思う。なんて書いているうちに、写真家Lois Greenfieldの「時間の止まったダンス」作品を思い出した。
Epson Print Your Legacy | Lois Greenfield https://youtu.be/B3PSXIwPkXU